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液晶ディスプレイの販売動向 ナナオ、台数で前年同月比2.4倍に

2002/06/24 16:51

週刊BCN 2002年06月24日vol.946掲載

 02年5月期の液晶ディスプレイ市場は、ナナオが19.7%のシェアでトップに踊り出た。同社の製品は、4機種が上位10機種以内に入った。トップシェア獲得は、ラインアップの強さが功を奏した。液晶ディスプレイは、前年同月比で台数ベースで28%増と、パソコン関連機器のなかでも比較的堅調に成長している。金額ベースでも、平均単価が上がり同比9%増。収益性が高い商材として期待がかかる。今後はさまざまな層のユーザーに対応するために、ラインアップの拡充が市場で勝ち抜くカギだ。

他社も虎視眈々とトップを狙う



 図は、BCNランキングで、最近6か月間のベンダー別販売台数シェアの推移を示したもの。今年に入ってからは、NEC三菱電機ビジュアルシステムズ(NMビジュアル)がトップの座に君臨し続けていたが、ナナオがその牙城を崩すこととなった。図をみても分かるように、02年5月はナナオが19.7%のシェアでトップを獲得。NMビジュアルが17.2%で2位、シャープが9.6%、アイ・オー・データ機器(IOデータ機器)が8.8%と続く。

 ナナオがトップを獲得した要因は、「フレックススキャン」シリーズの16インチモデル「L465」をはじめ、17インチの「L565」、15インチの「L365」など、各サイズモデルが人気を集めたこと。同社では、「EIZO」によるデジタル制御テクノロジーにより、見やすい高画質画像表示を実現。また、節電機能により、ディスプレイの消費電力を抑えている。同シリーズは、上位10機種以内に4機種がランクインした。前年同月比は台数ベースで144%増と驚異的な数値を記録。金額ベースでも、67%増と拡大している。今後は、18.1インチの「フレックススキャンL665」を7月5日に発売し、ラインアップ拡充を図る構えでいる。

 だが、ほかのメーカーも虎視眈々とトップの座を狙っている。機種別販売台数シェアでトップを獲得したのは、昨年11月発売のNMビジュアル「ダイヤモンドクリスタRDT172M」で、6.9%のシェアを獲得。昨年12月から6か月間連続で首位を維持し続けた。同製品は、左右ベゼル幅が33ミリのスリムベゼルを採用したスマートフォルムや、拡大表示の際に高画質表示が可能な「スムージングファイン機能」により、画像の見やすさを追求している。

 また、15インチの「ダイヤモンドクリスタRDT152X」も人気を集め、2.9%のシェアで6位となっている。シャープでは、今年3月に15インチモデル「LL-T15G1」や、4月に16インチ「LL-T1620-H」などを市場投入したことで、ベンダー別販売台数シェアで3位につけた。IOデータ機器は、昨年12月に発売した「LCD-A15CE」が根強い人気を保ち、ベンダーシェアが下がっているものの、5位以内のシェアで維持する。液晶ディスプレイは、今年に入り、平均実売価格が5万8500円前後と、6万円を切ったものの、その後は徐々に持ち直している。今年5月には、平均実売価格が6万6000円前後まで上昇した。

 加えて、市場自体も拡大している。前年同月比をみると、台数ベースで28%増、金額ベースで9%増と、ほかのパソコン関連機器のなかでも堅調に成長している。液晶ディスプレイに関しては、若干高額であってもユーザーが購入する傾向が強いのではないだろうか。そのため、液晶ディスプレイは、収益性が高い商材といえる。メーカーとしても、ラインアップを拡充し、高付加価値の製品を次々と発売することがシェアの拡大につながる。(佐相彰彦)
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