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パソコン夏商戦の動向 金額、台数ともにノートに勢い

2002/06/17 16:51

週刊BCN 2002年06月17日vol.945掲載

 いよいよ夏商戦が動き始めた。BCNランキングは、端境期の深い底から立ち上がり、夏モデルが本格的に動き始めたことを示す。週末の売場はパソコンを買い求める客の混み合いが目立ち、夏商戦の到来を告げる。


 いよいよ夏商戦が動き始めた。BCNランキング(図)は、端境期の深い底から立ち上がり、夏モデルが本格的に動き始めたことを示す。週末の売場はパソコンを買い求める客の混み合いが目立ち、夏商戦の到来を告げる。昨年来の伸び悩みを打ち破る夏商戦に期待感が高まるものの、一方で、各メーカーはギリギリの出荷台数に絞るなど、マイナス材料もある。販売店は“弾切れ”の不安を抱えながらの夏商戦になりそうだ。

各メーカー、“強気”と“慎重さ”が同居

 NECカスタマックスの片岡洋一社長は、今年の夏商戦全般について、「善戦すれば前年並みの台数ベースで100%はいく」と予測。ソニーマーケティングバイオマーケティンググループの中牟田寿嗣統括課長は、「最低でも前年比95%は堅い。インターネットとメール以外の有効な訴求が、いまひとつ出来ていない傾向が業界全体として残っている。今後、この部分を打ち破れば、次の成長につなげられる」と話す。

 昨年(01年)の夏商戦は、99年、00年に比べ大幅に落ち込んでいる。家庭用パソコン市場は、“突破口を切り開いた”とは言い難い。NEC、ソニーなど主要メーカーは、商品投入時期を年3回の商戦期に集中させる傾向を強めており、商戦と商戦の端境期には、販売店は深刻な品不足に見舞われている。

 図は、3月18日(月)-24日(日)の春商戦期の販売金額を「100」とした推移である。5月連休から5月下旬に至るまで、商材不足での落ち込みが目立つ。片岡社長は、「昨年の年末商戦は、台数を絞り込み過ぎて販売機会を逸した。今年の春商戦では、台数を絞り込みつつも、完売のタイミングは商戦末期まで伸ばした。流通在庫もほぼ当社の予測どおりで、販売機会を最小限に抑えつつ、在庫も増やさなかった。あと一歩踏み込んだら、余剰在庫が夏商戦に食い込む最悪のパターンになった」と、石橋を叩いて渡る慎重さだ。

 ソニーも、売れ筋デスクトップのバイオWなどは春商戦では早々と完売。2万円値上げをしたうえで、夏モデルとして改めて仕切直すことで在庫過多を阻止。5月27日(月)-6月2日(日)の週でバイオWはデスクトップのなかの単独機種(白と黒の合計)として台数シェア8.8%、金額シェアで7.8%と機種別トップシェアに返り咲いた。デスクトップ全体におけるソニーの台数シェアは30.7%、金額シェアは35.7%と好調。ソニーマーケティングの池戸亨副社長は、「これまで弱かったデスクトップでバイオWとバイオLXがヒット商品となった。デスクトップで2台目、3台目需要を狙いつつ、初心者でも使いやすい特徴を出すことができた。しかし、充足率としては8-9割で推移する見通し」と、売れ筋製品といえども、絞り傾向で生産する考えを示す。

 デスクトップとノートを比較すると、ノートの方が勢いがある。5月27日の週間統計では、デスクトップの台数構成比が39%に対して、ノートは同61%。金額構成比でもノートが6割を占める。だが、ノート比率が高いといえども、B5薄型以下(PDAを含む)モバイルパソコンについては、ノート全体の29.7%(5月月間の統計)を占めるに過ぎない。依然として“住宅事情から来るデスクトップの代替機”としてのノート需要が7割を占める。今後、成長が期待されているB5薄型ノートからPDA(携帯情報端末)については、「ビックピーカン、ヨドバシカメラなど大都市の量販店で全体の4割を売り上げるなど、まだまだ全国展開に至っていない」(東芝PDA部営業推進担当・土肥香織主務)と、都市部中心の需要に留まっているのが現状だ。(安藤章司)
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