店頭流通
オンキヨー 高級ミニコンポの音をパソコンで
2002/06/10 18:45
週刊BCN 2002年06月10日vol.944掲載
“PCオーディオ”を売り込め!
PCオーディオ分野で勢いがあるのは、いち早くパソコン本体にAV(音響映像)を取り込んだソニー・バイオだ。オンキヨーのPCオーディオ戦略は、「ソニー以外のパソコンは、AVという点でソニーブランドに劣る。そこでオンキヨーブランドでパソコンの音響機能を拡張する周辺機器として売り出せば、きっと成功する」というものだった。だが、現実には満足な立ち上がりにはならなかった。オンキヨーのブランド力が弱いわけではない。BCNランキング(5月月間の集計)では、オンキヨーのスピーカーの台数シェアは7.0%しかないが、金額シェアは14.7%もある。逆に、台数シェア13.2%でトップを獲るトライコーポレーションの金額シェアは3.6%に過ぎない。
中高生に人気が高いミニコンポでも、オンキヨーのいちばん安いモデルで4万9800円と他社より約1万円高い。オンキヨーは“高くても売れる”ブランド力をもつ。
一方、パイオニアやケンウッドなどのメーカーは、パソコン周辺機器の領域に進出しなかったり、パソコン本体へのOEM供給が中心だったりと、それぞれ路線が違う。純粋なパソコン周辺機器として「PCオーディオ」を手掛ける音響専業ベンダーは、今のところオンキヨーだけと言ってよい。
オンキヨー営業企画部の大林忠信担当部長は、「パソコンで高級ミニコンポの音を出す“PCオーディオ”という製品ジャンルが顧客に伝わっていない。バイオだけが高級ミニコンポの音を出せるわけではない。普通のパソコンでも、当社の周辺機器ひとつで素晴らしい音を出せる。販売店にとっても、一組1000円のスピーカーを売るより、2万円、3万円のPCオーディオのほうが商売になる」と強調する。
オンキヨーPCオーディオの特徴は、パソコンのUSBからデジタル音源を取り出し、外付けのデジタル→アナログ変換装置でスピーカーに出力する点。
パソコン本体に内蔵するサウンドカードでアナログ変換をすると、パソコン内部のデジタルノイズ(雑音)の悪影響を受け、高音質を再現できない。そこでデジタルのままUSB経由で外部にデータを吸い出し、ノイズの影響を受けない場所でアナログに変換する方式を採用した。これにより、マザーボード上でのアナログ変換方式に比べ、18分の1にノイズを抑えた。
大林部長は、「PCオーディオの認知度が低い間は、周辺機器としてではなく、販売店のスピーカー売場にPCオーディオを並べる。よい音を求める利用者がスピーカー売場に来るのは自然な流れ。こうした顧客に、PCオーディオの存在を耳打ちしてくれる店員がいれば、この市場は必ず立ち上がる。いつまでも安物ばかり売っていても仕方がないでしょう」と、付加価値の高いPCオーディオの拡販を呼びかける。
オンキヨー全体の売上は約500億円。このうちオーディオ部門が約200億円。PCオーディオ事業では、今年度30億円(前年比50%増)を目指す。
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