店頭流通

エディオン、動き出す 対ヤマダ統一戦線

2002/05/06 16:51

週刊BCN 2002年05月06日vol.939掲載

 エディオンが、“対ヤマダ統一戦線”の結束を呼びかけている。同社は、愛知県(エイデン)と広島県(デオデオ)の2地域を固めているに過ぎない。一方、ヤマダ電機は新規出店を全国規模で加速している。エディオンの久保允誉会長(デオデオ社長)は、「今後、都市部で生き残れるのは、わずか2-3店舗だろう。地域の有力企業が水平統合で事業を行うことが早急の課題だ」と指摘。岡嶋昇一社長(エイデン社長)も、「まずは結束を強化し、一枚岩でがっちりと固める。加えて、5社連合の(残り3社にもエディオンへの)参画を呼びかけ、エディオンをベースに愛知と広島以外の基盤を整える」と意気込む。

 対ヤマダ統一戦線の結束を訴える意図は、5社連合が誕生したことにより、愛知県と広島県の2地域に加え、上新電機の大阪府、ミドリ電化の兵庫県、ベスト電器の福岡県の3地域も網羅したかにみえるが、実際は5社の思惑がさまざまで、基盤が整っているとはいい難いかだ。全国展開を実現するためには、5社連合内で競合している場合ではなく、結束を固め、1日も早く確固たる基盤を築き上げることが先決だ。実際、ヤマダ電機は、郊外中心だった出店戦略を地方の中核都市への出店に切り替えている。5社連合は、ヤマダ電機との直接対決を強いられ、真っ向からぶつかる格好となる。岡嶋社長は、「ヤマダ電機のダイナミックな経営に敬意を表する。今後の成長に注目していき、なおかつ参考にしたい」と語る。これは、5社連合も、地方の各中核都市をしっかりと固めていくとの決意を示したものだ。

 これを裏づけるのは、今後の新規出店策だ。岡嶋社長は、「中核都市はマンションが立ち並ぶことでさらに消費者が集まってくる。なおかつ、スーパーや百貨店などが軒並み閉鎖している地域でもあり、その跡地に新規店舗の出店が可能だ」と、中核都市部への新規出店に意欲的だ。久保会長も、「エディオンは、全国に702店舗を展開する。だが、うまく機能しなければ意味がない。そのため、第1ステージで非効率資産を圧縮し、第2ステージで新規出店を本格的に行う」と基盤を固める姿勢をみせる。ヤマダ電機との直接対決のなかで、各地域でのシェア争奪戦に打ち勝つためには、いかに差別化が図れるかが重要となる。岡嶋社長は、「5社連合が頑張らなければ、過度な寡占化を生み出すことにもなる。それは、消費者にとってメリットにならない」と指摘する。加えて、「どれだけ汗をかいて顧客に近づくことができるかがカギ。地域密着型のNEBA販社らしさを追求する。そのためには、地域密着性をより高め、高齢化社会を視野に入れたサービスの強化なども図る」と強調している。

 具体的には、顧客第一主義を実現するために、店員の人材育成に注力するという。また、ヤマダ電機との差別化の原動力として、ADSLサービスを挙げる。岡嶋社長は、「ADSLなどのブロードバンドの普及促進に向けた活動を強化することが、パソコンの買い替え需要の拡大につながる。スタンドアロンのハードウェアを単体で販売するよりは、ブロードバンドを切り口としたネットワーク環境の提案で差別化が図れる」としている。家庭へのブロードバンド普及に対しては、積極的に取り組む姿勢を示す。パソコン市場が縮小するなか、家電量販店のシェア争いに拍車がかかっている。各家電量販店では、いかに業績を上げていくかを追求しなければ、生き残り戦争に勝ち抜いていくことは難しい。今、まさに正念場を迎えている。岡嶋社長は、「ヤマダ電機との直接対決は、持久戦にもつれ込むだろう」と分析する。ヤマダ電機の新規出店攻勢に立ち向かうためには、エディオンをベースとした全国網体制を形成し、5社連合の守備範囲を明確化するとともに、地域密着型の店舗づくりを徹底できるかが勝負の分かれ目になる。(佐相彰彦)
  • 1