店頭市場ピックアップ
メモリの販売動向
2002/04/08 16:51
週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載
大容量化と低価格化が進行
昨年の夏から秋にかけてがメモリ価格の底であったといえるだろう。しかし、この1年間で大容量メモリへのシフトは着実に進んでいる。売れ筋は128MBから256MBへと移行し、さらに512MBの売れ行きも拡大している。半年の推移を見れば、メモリ単価の上昇が目立つものの、全体の傾向としてはこの1年間で大容量化が進みながら、依然として価格は下がっていることが分かる。
一時的には価格上昇も
昨年は、全世界的に汎用DRAM製造メーカーの再編が進んだ。価格の下落で採算が急激に悪化したことで、大手電機メーカーは巨額の赤字計上を余儀なくされ、東芝が米マイクロン・テクノロジーに汎用DRAM事業を売却するなど、ワールドワイドでメーカーの集約が進んでいる。こうした再編にともなう供給調整の進展などにより、店頭のメモリ価格も上昇するのではないかとの懸念が広がっている。確かに価格変動が激しいノンブランド製品は、この半年間、価格が大きく乱高下している。
2月にシェアトップとなったノンブランド「PC2100 DDR 256MB」は、昨年10月の平均単価が4000円だったのに対し、今年1月には倍以上の8400円に上昇。2月は8000円と若干下がったものの、昨年秋に比べれば依然として高値が続いている。ノンブランド製品全体で見ても、2001年2月の平均単価は7588円なのに対し、01年8月は4039円と急下降。02年2月になると8655円と持ち直している。ノンブランドだけでなく、メーカー製品も含めた平均単価を比較すると、01年2月の平均単価は1万1200円だったが、01年8月には5928円とやはり大きく下落し、02年2月では9518円となっている。半年の推移だけを見れば、メモリの実売価格は急上昇したといえる。
だが、この平均単価とともに考えなければならないのが、大容量メモリの需要が拡大していることだ。図は、メモリの容量別シェア推移をまとめたもの。この1年間で、売れ筋が128MBから256MBへと移行。さらに512MBの売れ行きも着実に上昇している。つまり、この1年間で売れ筋はより容量の大きいものへとシフトしており、これを考慮に入れて1年前と現在の平均実売価格を比較すれば、メモリの価格は依然として下落傾向にあることが分かる。半年前と比較すれば、価格が上昇したように感じられるものの、この1年の間に、より容量の大きなメモリが値頃な価格で購入できるようになっている。半年間を見て、価格が上がったというよりも、むしろ半年前の価格が下がり過ぎの異常なものだったといえるのではないか。
今後、256MBが売れ筋トップとなる傾向は当分続くと見られる。売れ筋が128MBから256MBへと移行したのは、ウィンドウズXPをスムーズに動作させるのに256MBのメモリが必要なためだ。メーカー製パソコンのメモリも大半が256MBとなっている。512MBの売れ行きが上昇するためには、単価がもう少し下がる必要がある。しかし、メモリ製造メーカーが生産調整を行っていることもあって、急激に512MBの単価が下がっていくとは考えにくい。それを考慮すれば、512MBが256MBに代わってすぐに売れ筋トップとなることはないのではないか。1GB以上のメモリについては、まだ少数であり、需要が出てくるまでには時間がかかりそうだ。(三浦優子)
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