店頭流通

auの第3世代携帯電話サービス cdmaOneからCDMA2000へ

2002/03/18 16:51

 

年間700万台出荷目指す

 auの第3世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」が、4月1日からスタートする。下り最大144Kbps、上り同64Kbpsの高速データ通信を可能にしたサービスで、「第3世代携帯電話ではトップシェアを獲得する」(KDDI・小野寺正社長)と鼻息も荒い。今後発売する機種はすべて1x機とし、年間700万台の出荷を見込む。出遅れていたカメラ機能の搭載は今後標準仕様とし、コンシューマ分野にアプローチをかける。さらに、新たにソリューション事業本部を設置し、企業向けの用途提案も加速する。来年以降は、最大2.4Mbpsを実現する「CDMA 2000 1x EVDO」のサービスインも見込まれるなど、auの巻き返しが始まる。

●先行する「FOMA」を追う

 CDMA2000 1xは、昨年秋のサービスインが予定されていたが、ソフトの問題などもあり、開始が半年間延期されていた。昨年秋に1x化によって実現される目玉サービスとして用意したGPSケータイ、ムービーケータイは、昨年12月から先行サービスを開始。2月末までに42万台の出荷実績を誇る。

 本来、1x化と同時に開始するはずだった2つのサービスが前倒しでスタートした関係から、1x化によって新たに始まるサービスが希薄に見えるのは仕方がないことだろう。

 そのためアピールの方法も、先行するNTTドコモの「FOMA」との比較が中心とならざるを得ない。

 KDDIの小野寺社長は、「FOMAでは『料金が高い』、『端末が重たい』、『長時間駆動しない』などの問題が出ているようだが、CDMA2000 1xでは(現行の)cdmaOneの料金プランそのままで提供する。端末も同じサイズと重量、駆動時間が実現できる」点を強調する。

 auが今後発売する製品は、すべて1x対応機となり、利用者はスムーズに第3世代へ移行できる点は大きな特徴だ。

 PDCからW-CDMAへの変更により、第3世代を実現するNTTドコモ、J-フォンに対し、cdmaOneからCD MA2000へと帯域を変えることなく移行できるauは、ユーザーの移行の容易性とともに、設備投資が少なくて済むというメリットがある。「他社が1階から家を建てるのに比べ、auはcdmaOneによってしっかりした1階を作ってある。あとは、少ない費用で2階、3階を建てるだけ」(au事業本部長・起橋俊彦執行役員専務)という。

●ソリューション事業も視野に

 他紙ではあまり報道されていないが、今回の新サービス開始に合わせて、auはソリューション事業に本格的に乗り出す姿勢を示している。3月1日付でソリューション事業本部を新設。同事業本部を通じ、SIerなどとのパートナーシップを確立する考えだ。

 具体的には、ビジネスアプリケーションの開発環境の整備、GPSケータイを核としたASP事業の推進などを掲げている。「モバイル技術がわかる要員を100人以上揃えている。当初は、特定の企業への一品対応という形になるものの、近い将来は、こうしたソリューションをモジュール化し、横展開していきたい」(起橋執行役員専務)と語る。

 「現在はほとんどゼロ」(同)の企業向けソリューションを、3年後には1500億円規模の事業にまで拡大するよう小野寺社長は号令をかけているという。

 さらに、最大2.4Mbps、平均でも800Kbpsのブロードバンドデータ転送が可能になる1x EVDOを次のサービスとして用意している。「高速データ通信環境でこそ、auの真価が発揮できる」(同)という言葉を裏付けるように、その体制が徐々に整備されつつある。ビジネスソリューションへの本格展開も次のサービスを見据えた布石といえそうだ。(大河原克行●取材/文)
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