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B5薄型ノートパソコンの販売動向 ソニーを追撃するシャープ、東芝、NEC

2002/03/18 16:51

 この春、NECと東芝が新製品を投入した“B5薄型ノート”市場。これまでB5薄型は、ソニーの「505」(12型画面)と「SR」(10型画面)の独壇場だった。しかし昨年、シャープの「ムラマサ」(12型画面)が挑戦を始め、この春からNEC、東芝がシャープに続けとばかりに参戦した。最新のB5薄型ノート市場の動向を探った。

シェアで2倍以上の開き

 2月25日(月)から3月3日(日)までのBCNランキング(機種別シェアで1%以上ある上位18機種の統計)によれば、NECが春商戦に新しく投入した「ラヴィJ」(12型画面)シリーズが台数シェア11.6%を獲得した。

 東芝が「ムラマサ」への対抗心を見せつける渾身のB5薄型ノート「S」(12型画面)シリーズは、1機種で台数シェア7.6%を獲得した。

 迎え撃つシャープ「ムラマサ」は、型遅れを除く2機種の春モデルがランクインし、台数シェア3.5%だった。「ムラマサ」は、ウィンドウズMe採用の旧機種が2機種も残り、これを平均価格13万円台で処分し、損失補填が発生している。

 B5薄型ノートの王者・ソニーは、10型画面で小振りな「SR」シリーズが5機種ランクインし、台数シェア36.1%を獲得。また、12型の大きい画面を採用した「505」シリーズは、台数シェア32.5%を獲った。「SR」と「505」を合わせると、台数シェア68.6%、金額シェア71.7%を誇る。売れ筋上位に、ウィンドウズMeの旧機種はなく、すでに売り切った。

 ソニーはノートパソコン全体でも、同期間に台数シェア31.5%、金額シェア32.7%とトップだった。ほかのNECや富士通、シャープが、それぞれ15%前後の台数・金額シェアであることを考えれば、ソニーは競合他社の約2倍のシェアを獲っている。ソニーはノート市場全体でも強いが、B5薄型ノートでは、“ずば抜けて”強いということになる。

 B5薄型ノートは、ノート市場全体から見ると台数で11.2%、金額で12.0%しかない小さな市場だ。メーカーが「モバイル振興」を主張するわりには、B5薄型ノートはノート全体の1割強の市場でしかない。

 このB5薄型ノート市場を拡大させるためにも、ソニーだけでなく、もう少し他社にも頑張って欲しい。

 対抗するNEC「ラヴィJ」3機種は、台数シェア11.6%に対し、金額シェアが10.1%と金額シェアが若干低い。東芝「S」1機種が、台数シェア7.6%に対し、金額シェア8.1%とやや金額シェアが上回る。シャープ「ムラマサ」2機種は、台数シェア3.5%に対し、金額シェア3.8%だ。

 NEC、シャープ、東芝の各機種を比べると、「J」が外付けCD-RWドライブ付で実売17万5000円、「ムラマサ」が外付けCD-RWドライブ付で同23万7000円、「S」が外付けCD-ROMドライブ付で同23万3000円の価格帯。OSやソフト修復用ドライブと本体をセットで購入する場合、NEC「J」の安さが目立つ。一方、シャープ「ムラマサ」と東芝「S」の価格帯はほぼ同じだ。

 他社と比較して、重く厚ぼったいNECの「J」は、価格で訴求する路線だろう。B5薄型CD-RWドライブ付で実売17万5000円は安い。一方、薄さや軽さといったB5薄型ノートの先進性と価格帯で見れば、東芝「S」と「ムラマサ」の一騎打ちとなる。

 「S」、「ムラマサ」ともに十分薄く、軽い。今のところ「S」が先行しているようだが、“ムラマサファン”も多く優劣つけがたい。(安藤章司)

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