店頭流通

伸び悩む新iMac 予約分で手一杯

2002/03/11 18:45

 自由に首が動く液晶ディスプレイを搭載した新iMacは、発売前の1月に予約注文だけでBCNランキングのデスクトップ部門でナンバーワンとなるなど、好調な滑り出しを見せている。しかし、当初1月末に発売を予定していた「iMac G4-800 Super Drive」が2月16日にずれ込んだのを引き金に、700Hzコンボドライブ搭載モデルの発売が2月末から3月末へと発売延期になるなど、製品の品不足と、発売直後のもたつきが目立っている。店頭での人気は高く、問い合わせは多いというものの、販売実績は伸び悩んでいるというのが現状だ。

商品の供給不足たたる

●品不足を嘆く声

 「新たに商品が入荷しても、当面はすでに予約してくれたお客さんのところに届けるのが精一杯。今、予約してもらっても実際に商品が手元に届くのがいつになるかは確約できない」

 新iMacを販売するショップの店員からは、品不足を嘆く声が聞かれる。 自由に首が動かせる液晶ディスプレイを搭載した新iMacは、冷え込んでいたマッキントッシュ売り場を活気づける製品として期待されていた。 しかし、商品供給は潤沢とはいえない状況が続いている。

 「日本だけでなく、米国でも品不足が続いていると聞いている。当分、品不足は解消しないのではないか」。いずれの店舗もあきらめ顔だ。

 この品不足ぶりは、実際の売り上げにも大きく影響している。 図はBCNランキングにおける「iMac G4-800 SuperDrive」のシェア推移を示したものだ。

 2月8日の製品発表直後に予約注文が入り、シェアは上昇した。しかしそれ以降は思うようにシェアは伸びていない。

 逆に、2月9日発売のソニー「バイオ W ホワイト」、「同ブラック」が順調に売り上げを伸ばし、トップシェアを獲得している。

 バイオ WもiMacと同様にデザインが大きな特徴。同じようなコンセプトの商品だが、発売直後のシェアではiMacとは対照的な数字を見せている。 

●商品供給体制が不十分 

 マックの場合、根強いマックファンが存在するため、新製品発売直後は固定ファンに支えられ、ある程度のシェア獲得するのが通例。売り上げを伸ばしていくためには、固定ファン以外のユーザーをどれだけ獲得できるのかがカギとなる。

 新iMacについては、久々にデザインが一新されたことで、「これまでパソコンを置いていた部屋とは違う部屋に置いてもらうことができるのではないか」という期待が、販売店から寄せられていた。

 しかし、商品供給体制が不十分で、店頭に出向いてもすぐに商品が手に入らない現状では、熱心なマックファンならともかく、新たなユーザー獲得は難しいといわざるを得ない。

 アップルコンピュータの原田永幸社長は2002年のメーカー戦略として、「発売直後に商品を潤沢に用意するというのは重要なこと」としていた。

 だが、新iMacはこの点で大きくつまずいてしまった。 商品供給体制が十分ではないことが、同じく今年の目標としていた「ウィンドウズユーザーからの乗り替えを促進する」(原田社長)ことにもマイナス影響を及ぼすことは間違いない。

 これまでになかったデザインが目を惹き、店頭でも商品に手を触れる人が少なくない新iMacだけに、今後の売り上げ拡大は商品供給力が命運を握っている。
  • 1