店頭流通
売りは“学校と同じPC” 4月からパソコン授業開始
2002/03/11 16:51
学校の授業でパソコンの使い方が盛り込まれたことで、子供をもつ家庭に新たなパソコン需要が生じるのではないかという見方が、売れ行き不振にあえぐパソコン販売店に広まっている。
家電量販店を全国展開するコジマでは、「需要拡大の1つの要因として、学校でのパソコン学習がある」(小島章利専務)と、ビジネスチャンスの1つにとらえる。
パソコンの総合資格であるパソコン検定試験(略称=P検)を運営するP検事務局では、「02年は文教市場におけるパソコン普及元年となる」との見方を示す。
中学生を対象にパソコンの基本操作や日本語入力、インターネットの操作方法などを無償で教える講習会を実施し、「家庭にパソコンがある子供とない子供の差が広がらないように努める」方針だ。
こうした状況から、子供をもつ家庭のパソコン需要がこれから拡大しそうに思えるが、実際に販売店に出向くと、反応はいまひとつ。専用コーナーを作っている販売店は少ない。
これまでも、学校へのパソコン導入が進むことで家庭への普及が期待されてきた。しかし思うように実績が出ていない現状が背景にある。パソコン販売店では、需要が見通せないだけに、売り場にコーナーを作ることをためらっている。
「実際に学校で授業が始まるまで、新規需要が見込めるのかどうかの実態が分からない。現時点で学校パソコンコーナーを作るというのは、リスクが大きい」。ある販売店関係者は打ち明ける。
とはいえ、「実際に授業が始まる秋以降には、学校と同じパソコンを自宅でも利用したいという家庭が出てくるのではないか。すでに塾で近隣の学校と同じパソコンを揃える例が出ている。家庭でも同じパソコンが欲しいという需要が出てくる可能性は大きい」(同じ販売店関係者)と、少なからず期待を抱いている。
中学校でパソコンの授業が始まっても、一気に家庭のパソコン需要に火がつくとは思えないが、ジワジワと秋ごろから学校関連需要が出てくるとの見方だ。
政府の「e-Japan構想」では、05年には小・中・高等学校の全教室にパソコンが設置され、インターネットへの接続が実現する。
“学びの場”でもネットワークから情報を入手できる環境が整ってくることから、これに歩調を合わせるように、子供をもつ家庭のパソコン需要も、拡大傾向をたどることは間違いない。
「学校用パソコン売り場」を作らないまでも、近くに小・中学校がある販売店では、「どのメーカーのパソコンを利用しているのか」、「OS、アプリケーションにどんなものを利用しているのか」を調査し、店内に表示することで、子供をもつ家庭にパソコンをアピールすることができる。
販売店にとって、学校への普及状況をいまウォッチしておくことは、決してマイナスにはならない。
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