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液晶ディスプレイの販売動向 低価格化が加速 平均実売5万円台に

2002/03/04 16:51

 液晶ディスプレイ市場は、2002年に入り、平均実売価格が5万円台に突入した。同市場は低価格化が加速したことで、パソコン販売が先行き不透明な状況であるにも関わらずさらに拡大。台数ベース、金額ベースとも前年水準を上回っている。液晶ディスプレイは、ユーザーにとって購入しやすく、販売店にとっても収益性が高い製品。だが、低価格化の進行で市場自体が拡大しても、収益性が低くなる可能性が高い。高額でも売れる付加価値が高い商品を市場に投入することが急務である。

市場はさらに拡大

 図は、BCNランキングによる液晶ディスプレイ市場の平均実売価格を表したもの。平均実売価格は、昨年8月に6万9828円であったのが今年に入り5万8555円に下がり、初の5万円台に突入した。

 また、BCNランキングで対前年同月比をみると、台数ベースで139%増、金額ベースで49%増となっている。

 今年1月の機種別販売台数シェアは、昨年11月に発売したNEC三菱電機ビジュアルシステムズ(NMビジュアル)の「ダイヤモンドクリスタRDT172M」がトップを獲得した。左右ベゼル幅が33ミリのスリムベゼルを採用したスマートな形状や、拡大表示の際に高画質表示が可能な「スムージングファイン機能」により、画像の見やすさを追求しており、販売台数シェアで8.6%となった。

 このほか、15インチの「ダイヤモンドクリスタRDT152X」も人気を集め、4.7%のシェアで4位につけている。同製品群がけん引役となり、ベンダー別販売台数シェアで、NMビジュアルは18.1%とトップの座についた。同社は10月からアイ・オー・データ機器にシェアを追い抜かれ、2位に甘んじていたが、シェアを巻き返した。なお、金額シェアでも19.3%を獲得し、トップとなっている。

 ほかのメーカー製品では、イーヤマ販売の「AX3817UT」やアイ・オー・データ機器の「LCD-A15C」なども売れ筋商品となっている。ベンダー別販売台数シェアでも、アイ・オー・データ機器が16.0%で2位、イーヤマ販売が11.5%で3位という結果だ。

 液晶ディスプレイ市場では15インチが主流となっており、販売台数でみると、市場全体の61.5%を占めている。上位10機種をみても、7機種が15インチという状況だ。各メーカーでも15インチは主力製品となっており、次々と新製品を市場投入している。

 その結果、15インチは若干の供給過剰となっており、市場全体の低価格化を加速させている。実際、昨年8月における15インチの平均価格は5万7549円だったのが、今年1月には4万7041円。今年1月におけるCRTモニタの平均実売価格(3万2018円)と比較しても、値頃感を考えれば、ユーザーは15インチの液晶ディスプレイを選択するだろう。

 17インチの低価格化も顕著に表れている。昨年8月には9万4140円の平均実売価格だったのが、今年1月は7万6169円と2万円弱の値下がりが生じている。ただ、17インチに関しては、ユーザーが購入しやすい価格帯になったという見方が妥当だ。17インチの販売台数構成比率は、昨年8月に16.7%だったのが、今年に入り22.0%まで上昇している。

 液晶ディスプレイのなかで平均実売価格が比較的安定しているのは、16インチだ。昨年8月の平均実売価格は7万8845円で、今年1月が7万4243円と若干の下げでとどまっている。

 液晶ディスプレイ市場は、低価格効果が要因で拡大しているものの、これ以上の値崩れは、収益性を押し下げる点で問題だ。今後は、若干高額であってもユーザーが是が非でも購入したくなるような高付加価値製品が求められているのではないだろうか。(佐相彰彦)
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