店頭市場ピックアップ

ゲーム専用機の販売動向 Xbox登場前で市場は小休止

2002/02/25 16:51

Xbox登場前で、市場は小休止

 Xboxの発売やADSL網を中心としたブロードバンド回線による通信環境の整備など、ゲーム専用機市場はビッグニュースが相次いでいる。しかし、往々にして大きなイベントの直前は買い控えがやってくる。BCNランキングでも、2月上旬段階の市場状況は芳しくない。年末商戦期の昨年12月17日の週を基準点としたゲーム専用機市場全体の販売台数指数推移をみると、12月24日の週には前週の74.2%、12月31日の週では96.4%と盛り返すが、その後は販売台数が減少し、2月4日の週には21.4%にまで下がっている状況だ。

ハードの買い控えも

 BCNランキングの週次集計でゲーム専用機メーカーの販売台数シェアをみると、昨年12月17日の週でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)を上回る販売実績をあげていたのは任天堂だった。

 発売当初、「予想したほどの売れ行きではなかった」(販売店)という声が多く聞かれた「NINTENDO GAME CUBE(ニンテンドーゲームキューブ)」だが、大ヒット作「ピクミン」や「大乱闘スマッシュブラザーズ」に恵まれたこと、クリスマス商戦の波にうまく乗ったことなどから、最大のライバルである「プレイステーション2(PS2)」を凌駕する実績を叩き出した。

 その後、任天堂のシェアはジリジリと後退し、今年2月4日の週では28.7%に落ち込む。ピクミンをはじめとするヒット作を購入した層が一巡したことで、PS2を超える勢いは衰えた。

 一方、PS2は12月24日の週以降、ゲームキューブの後退とは対照的に販売台数シェアを伸ばし始めた。この時期からSCEIによるPS2のブロードバンド戦略の宣伝効果が徐々に市場に浸透し始めたこと、「ファイナル・ファンタジー11」など具体的なブロードバンド対応ソフトの姿が明らかになってきたことが、シェア拡大を後押しした。

 だが、ゲーム専用機市場全体をみると、販売台数は減少傾向にある。

 年末商戦期の12月17日の週を基準点としたゲーム専用機市場全体の販売台数指数推移では、12月24日の週には前週の74.2%、12月31日の週は96.4%と盛り返すが、その後の販売台数は減少をたどり、2月4日の週には21.4%にまで下がっている。年末商戦期を基準点とすれば、指数が減少傾向をたどるのは当然のことだが、明らかに減少の度合いは激しい。

 このような状況を販売店はどうみているのか。「PS2については、ソフトメーカー各社が人気シリーズの通信対応版を4月以降に発売するということもあり、明らかに買い控えが起こっている」、「ヒット作といえばゲームキューブ関連のソフトだが、PS2と比較するとプラットフォームのパイは小さく、市場を広げる起爆剤にはならなかった」、「Xbox発売直前の買い控えは当然あるとみている」――など、市場は新ハードウェア登場前の端境期にあると認識している販売店が多い。

 Xboxの買い控えについては、市場での評価が明らかになった後に購入に踏み切る“見込み層”が多いという指摘もある。北米のような爆発的なスタートダッシュは難しいという意見である。米調査会社のThe NPDGroupによると、北米でのXboxのスタートダッシュは週10万台の出荷ペースだという。

 日本では果たしてどうか。

 BCNランキングによると、1月21日の週のXbox予約状況は3.7%、1月28日の週では7.1%となるが、2月4日の週では1.1%に落ち込んでいる。

 ハードの売れ行きは、ソフトに依存する。販売店はさまざまな要因をにらみながら、Xboxの全容が見え始める2月下旬から3月にかけて、さらにPS2の通信サービスが開始される4月以降、ゲーム専用機市場が盛り上がりを見せることに期待をかけている。(谷古宇浩司)

  • 1