店頭流通

JEITAの国内パソコン出荷実績統計 01年第3四半期のPC 価格・台数で前年同期比減

2002/02/11 16:51

週刊BCN 2002年02月11日vol.928掲載

 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた国内パソコン出荷実績統計によると、2001年度第3四半期(10-12月)は台数ベースで前年同期比9%減の約253万台、金額ベースで同13%減の4228億円という厳しい数字となった。01年暦年でもその厳しさがわかる。台数ベースでは前年比2%減の約1129万台、金額ベースでは同10%減の1兆8854億円。この低迷は02年上期まで持ち越される、とJEITAでは見ている。

金額で3年ぶりの前年割れ

 暦年のパソコン出荷台数ベースでは、98年に前年比0.4%減の約701万台と微減となって以降は、2年連続で前年を上回る実績を維持してきた。しかし、01年に入り再び前年割れとなり、金額ベースでも98年の8.8%減(1兆5641億円)以来、3年ぶりの前年割れを記録した。

 この傾向は、02年も続く見通しだ。JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会の篠崎雅継委員長(日立製作所)は、「暦年ベースでみて、理想としては第3四半期には前年を上回る実績を期待している。しかし、実際には第4四半期に持ち越されるだろう」とし、少なくとも02年上期(1-6月)での好調転移は見込めないと指摘した。

 低調の原因は何なのか。

 JEITAでは、主に景況感の不安をあげる。「国内のパソコン普及率は個人レベルでは30%程度。普及の余地はまだある」(日立製作所インターネットプラットフォーム事業部・木村政孝マーケティング部長)というように、パソコンそのものに難があるわけではなく、全体的な景気の落ち込みという外部要因に不調の原因をみる。もちろんJEITAではそれで手をこまねいているわけでもない。

 出荷台数全体の40%を占めるコンシューマ層に向けては、主に50歳以上のシニア層の開拓で市場拡大を目指す。また若年層中心には2-3台目需要の取り込みを加速させる方針。ビジネス市場に対しては、中小企業群へのサポートを強化することで、市場の活性化を狙う考えだ。

シニア層開拓がカギ

 JEITAが50歳以上のシニア層を対象に行ったアンケート調査によると、(パソコンを購入した後に)苦労したこととして、「インターネットの接続」(35%)、「マニュアルの読解」(31%)という結果が出た。初期設定作業については、「簡単にできた」と回答したのは全体の20%にも満たない。ただし、このような障害を乗り越えた後の達成感については90%近くが満足感をもっていることが明らかとなっている。

 さらに、この層における1日のパソコン平均利用時間は1回1時間以上と回答したのが60%以上という。つまり、「日本に5000万人以上いる50歳以上のシニア層を開拓することは市場拡大に繋がる」(JEITA)というわけである。

 しかし、JEITA自身、先に触れたとおり、02年上期の市場復活は非常に厳しいと見ている。とくに金額ベースでは、円安傾向により、海外調達を中心とする部品単価の上昇傾向で、利益幅が一層薄くなる見込みだ。

 四半期ベースのサーバー・デスクトップとノートの平均単価推移をみると、01年度第3四半期(01年10-12月)では、サーバー・デスクトップが15万8000円、ノートが17万5000円で、前年同期に比べどちらも若干の上昇が見られるが、「あくまで平均単価が上昇しただけ。ノートもデスクトップも売れ筋機種は軒並みダウンしている」(日立の木村部長)。さらに円安の影響で、「02年前半は思うように価格を下げられないジレンマに陥るはず」(同)という状況だ。(谷古宇浩司●取材/文)
  • 1