店頭流通
店頭PCビジネス、転換期に Windows XP発売後も販売不振続く
2002/01/21 16:51
週刊BCN 2002年01月21日vol.925掲載
例年、活況を呈すはずの年末年始商戦だが、今年度に関しては前年を大きく割り込む結果となっている。
ウィンドウズXPが発売になってからの9週間について、デスクトップパソコン、ノートパソコンの販売台数週次データの対前年比を折れ線グラフで示した。
ノートパソコンは64%という週があるものの、ほぼ70-80%台と前年比2-3割減を保っている。これに対し、デスクトップは前年を5割以上割り込む40%台の週も2週ある不調ぶり。現在のパソコン販売が苦況にあることを示している。
ショップに話を聞くと、どの店舗もパソコン本体に関しては軒並み不調だ。新規出店を増やしている店舗がトータルでは売り上げアップを達成しても、既存店ベースでは大きく前年割れだという。
今年は小・中学校で、パソコンを利用した授業が始まることから、子供をもつ家庭向けに売り上げ増が見込まれるなど、明るい材料もある。だが、パソコン販売が大きく前年を上回る、かつてのようなペースは一段落したといっていい。
パソコンショップにおいても、「脱従来型パソコンビジネス」を実践すべき時期となった。
ウィンドウズ95、98を頂点とした90年代型のショップビジネスは、パソコン専門店を構築し、魅力ある店舗を作っていくことで顧客が集まり、売り上げが伸びた。
しかし、現在ではこれまでのセオリー通りにショップを作っても、従来のように売り上げが伸びない状況が続いている。都市部以外でも、複数のショップがパソコンを販売するオーバーストア状態が続いていることで、競争はより激しさを増している。
残念ながら、即効性のある新しいビジネスモデルは見えていない。店頭でのビジネス向け販売、家電など従来パソコンショップにはなかった商品との融合店舗など、新しいタイプのショップは出てきているが、どのタイプが勝ち組の“定番“となるかは今のところわからない。
ただ1つ言えるのは、「スペックをもとにしたパソコン販売」というパターンは終わり、これまでも再三叫ばれてきた「使い方の提案」をしていかなければならないという点だ。パソコンの売れ行きが伸び悩んでいるとはいえ、e-Japan構想でITインフラが拡充し、パソコンを使ってインターネットを楽しむ環境が整い、高齢者、小・中学生までをターゲット顧客として取り込める環境が揃うことから、パソコンへの需要は依然として残るだろう。こうした需要をビジネスとして顕在化するには、顧客の声を聞いて、フォローアップできる店作りが必要になっていくことは間違いない。
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