店頭流通

ソーテック 02年型、新基準デスクトップ 価格性能比重視の戦略へ

2002/01/07 16:51

週刊BCN 2002年01月07日vol.923掲載

 2002年、ソーテックは初心に戻り、堅実で着実に売れるパソコン作りに取り組む。これまで同社は、ノート型やAV(音響・映像)パソコンの開発に力を入れてきた。今年は、従来型のデスクトップに軸足を置いた販売戦略を練り直す。大邊創一社長は、「02年は、ADSLを始めとするブロードバンドが飛躍的に普及し、パソコンには映像や音楽をより快適に処理できる性能が求められる。価格性能比が良いデスクトップを充実させ、初心者や買い替え・買い足し利用者の奪還を目指す」と、“02年型、新基準デスクトップ”の開発を通じ再度仕切り直しを図る。

 「01年を振り返ってみると、年度の上半期(01年4-9月)は大きく落ち込んだものの、下半期前半は、徐々に正常化しつつあり、手応えを感じている」(大邊社長)と話す。

 ソーテックは、年間出荷台数が年を追うごとに増え続け、一時は年間100万台の販売に手が届くところまで成長していた。品揃えも、AVパソコン「アフィーナシリーズ」から、上級者向けの高性能機種まで幅を広げた。

 ところが昨年、各パソコンメーカーが前年比で2-3割販売量を落とす“大不況”に陥った。ソーテックはそれ以上に厳しく、同4-5割も販売量を激減させることになった。

 この結果、01年度上半期に在庫評価損約20億円を計上。ほぼ同時期に主要取引先である韓国パソコン製造工場のKDSが経営難に陥り、貸し付けていた約11億円が回収できなくなる。「まさに泣きっ面に蜂だった」(大邊社長)。

 01年度上半期の落ち込みが響き、通期(01年4月-02年3月)の出荷台数は約39万台にとどまる見通し。前期実績の62万台に比べ、大幅減になる見込みだ。初めてパソコンを購入する顧客層が増えなかった点が、ほかのメーカーに比べ落ち込みが大きくなった要因。

 「いろいろ施策は尽くしてみたものの、ソーテックを選ぶ顧客は、やはり初心者が圧倒的に多かった。この初心者の伸びが減ると、ソーテックが最も割を食う構造にあった」という。

 これらの点を踏まえ、02年は、安くて性能の良いデスクトップを主軸に置いた開発に力を入れる。

 「ペンティアム4・2GHz、メモリ512MB、描画チップGフォース3を組み合わせれば、ブロードバンド通信、ビデオ編集、ビデオチャットなど、02年に流行りそうなサービスにすべて対応できる。このレベルの性能をノートパソコンに盛り込むと、価格は軽く30万円に達してしまう。デスクトップなら10万円台で組める。中途半端なパソコンでは、ソニーやNECに食われてしまう」と、価格性能比の良さを徹底的に打ち出していく方針。

 価格性能比を重視した「02年型、新基準デスクトップ」は、すでに、一部の製品を年末商戦向けに出荷している。15インチ液晶モニタ付で10万円前後の低価格を打ち出した「Sシリーズ」のうち、半分は昨年12月中旬に完売。残り半分は増産を続けながら、通常より2倍近い長い納期となる2週間で、なんとか需要を満たしていく状態だ。

 「冬商戦最盛期の昨年12月は5万台の生産計画を立てていた。実際は6万台くらいの需要があり、販売機会を逃した。しかし、製品戦略からみれば、非常に上手くいっている。今年もこの路線で突き進む」と意気込む。

 「ブロードバンド対応パソコンのブームはいずれ一段落し、価格性能比の競争が落ち着いてくる。それまでに、ソーテックが得意としているノートパソコンやAVパソコンで勝負できるような開発体制を整え、上・中級者から初心者へと顧客層を広げていく。それまでは、01年度上半期の反省も踏まえ、着実に売れる高性能デスクトップに軸足を置く」と、まずは手堅いところで収益力の強化を図る。
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