店頭市場ピックアップ

シリコンオーディオの販売動向 アップル、「iPod」でトップシェアに

2002/01/07 18:45

週刊BCN 2002年01月07日vol.923掲載

 2001年11月期におけるシリコンオーディオ市場は、アップルが31.1%のベンダー別販売台数シェアを確保しトップに立った。牽引役は、昨年11月に発売した「iPod(アイポッド)」。店頭価格は4万7000円で、ほかのシリコンオーディオと比較すると割高だが、MP3機能とポータブルハードディスクの機能をあわせもつ製品として人気を集めている。昨年11月期のシリコンオーディオ市場は、前年同月の3倍以上に拡大。ソニックブルーをはじめ、ほかのベンダーもトップシェアを虎視眈々と狙っているだけに、熾烈なシェア争いが激化する可能性が高い。

市場規模が1年間で3倍以上に拡大



 アップルの「iPod」は、CDの音質を保ったままで5GBの内蔵ハードディスクに最高1000曲の音楽を保存することが可能だ。FireWire(ファイヤーワイヤ)ポートを装備しており、通常の10分の1以下の時間でダウンロードできる。これはUSBポートの30倍以上の速さ。本体重量は約185グラムと軽量化を実現している。アップルのデジタルミュージックソフトウェア「iTunes(アイチューンズ)2」と連動しており、iPodと同ソフトを実行しているマッキントッシュを接続することで、iPodのデータが自動的に更新される機能も搭載している。

 店頭価格は4万7800円。市場に出回っているほかのシリコンオーディオと比較すると高額なため、発売前は販売台数が伸びないという評価が大半だった。しかし、ふたを開けてみると、5GBの容量でMP3機能とポータブルハードディスク機能を兼ね揃えた製品としての値頃感で、ユーザーから人気を集める結果となった。

 アップルは、昨年11月のiPod発売で、シリコンオーディオ市場で一躍トップに踊り出ることとなった。11月期におけるベンダー別販売台数シェアでは、31.1%を獲得している。

 iPodは、ソフトウェアの関係上、マッキントッシュのみに対応しているのが現状だ。従って、アップルにとってはiPodが牽引役となり、iMacシリーズの拡大にもつながっているといえよう。

 また、iPodにより、シリコンオーディオ市場自体も拡大している状況にある。

 昨年1月期におけるシリコンオーディオの販売台数指数を100とすると、同11月期は151。また、同11月期における前年同月比は、販売台数ベースで244%増となり、1年間で3倍以上の規模に市場は拡大した。金額ベースでも同383%増という結果だった。

 そのため、シリコンオーディオ市場では、アップルを追随しようと、ソニックブルーをはじめ、アドテックやアイ・オー・データ機器など、市場で上位に君臨し続けている各ベンダーがトップシェアを窺う。

 ソニックブルーは、昨年12月3日から、「Rio600」や「Rio800」などに対応した会員向けデジタル音楽配信サービス「Rio Music Style(リオ・ミュージック・スタイル)」を開始している。このサービスは、WMA方式のデジタル音楽を月15曲まで無料でダウンロードできるというものだ。

 アドテックでは、本体重量29グラムという軽量化を実現した「AD-DMK64」を12月中旬に発売した。

 アイ・オー・データ機器では、単4アルカリ電池1本で19時間を超える連続再生時間を可能にした「Hyper Hyde Exrouge(ハイパーハイド・エクスルージュ)」を12月から市場投入している。

 今後は、各ベンダーの新製品発売や新サービス開始により、どのベンダーがトップシェアを獲得するかが注目されるところだ。シリコンオーディオ市場は、アップルの参入を弾みに需要の拡大が予想される一方、激しいシェア争いが繰り広げられることになりそうだ。(佐相彰彦)
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