店頭流通

アップルコンピュータ 赤字転落を予測

2000/12/18 18:45

 米アップルコンピュータは、米パソコン市場の減速などを理由に今年10―12月期の決算が赤字に転落する見通しであることを発表した。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が同社再建を果たしてから初の赤字となる。一方、インテルも業績の大幅な悪化見通しを発表した。売れ行き鈍化の傾向は、今後、コンシューマ向けから企業向け市場にまで拡大するであろうとみられており、米パソコン業界にとっては厳しい冬となりそうである。

パソコン販売鈍化が影響

 アップルによると、10-12月期の売り上げは当初の予測を6億ドル下回る10億ドルで、投資益を差し引くと2億2500万ドルから2億5000万ドルの赤字に転落する見通しという。正式発表は年明け1月17日の予定。

 ジョブズCEOは、社内の事情、パソコン市場の減速、経済全般の減速という3つの要素が同時に襲ってくることに「対応する準備ができていなかった」と述べた。

 同CEOは、生産調整や値引きなどの販売促進策を用いて在庫を削減し、1-3月期には黒字を出したいとしている。

 製品面での問題としては、競合製品に比べクロック周波数の遅いCPUを搭載していること、CD-RWを搭載していないことなどを挙げた。また、エンドユーザーのパワーマックG4キューブに対する反応が予想ほど芳しくないことを認める発言も行った。

 一方インテルは、10-12月期の売り上げが7-9月期の87億ドルとほぼ同額か、1-2%のマイナス成長になる可能性があると発表した。パソコン業界の最大のかき入れ時である年末商戦に前期比でマイナス成長するのは極めて異例。

 インテルによると、パソコンの売れ行きの鈍化は消費者向け市場からビジネス向け市場に拡大しつつあり、世界的にパソコンが売れなくなりつつあるという。ただ唯一、中国と日本のコンシューマ向けパソコン市場は堅調としている。

 米ハイテク調査会社IDCによると、世界のパソコン市場は7-9月期が前年同期比で19.8%、10-12月期が19.6%と堅調に推移する見通し。ただし米国のコンシューマ向けパソコン市場の成長率を21.2%から10.2%に大幅下方修正した。

 こうしたなか、日本市場は好調で、IDCによると、初めてパソコンを買う人やパソコンを買い換える人、企業の投資が増加傾向にあり、10-12月期は29.4%の成長を記録すると予測している。
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