店頭流通

米アップル 新製品の出荷に遅れ

2000/09/04 18:45

【米サンノゼ発】米国においても、G4 Cubeの品薄は深刻である。販売開始直後から、多くの流通業者で早くも流通在庫が底をついてしまい、9月の新学期スタート前後という、米国ではクリスマス商戦の次に重要とされている商戦期に販売機会を大きく逃した。これについて、市場関係者からは製品販売管理の詰めの甘さが厳しく指摘されている。

管理ミスによる手痛い打撃

 この在庫不足解消に向けて、アップルも全力を尽くしており、深刻な品薄状態は徐々に解消に向かっているようだ。しかしその出荷状況を見てみると、ネジ止めがゆるんでいたり、モデムが装着されていなかったり、さらに、ビデオカードが正しく装着されていなかったりと、数多くの問題が報告されている。

 米国のあるG4 Cube購入者は、「透明な筐体をもつG4 Cubeは、製品の内部が透けて見えるデザインのため、内部のネジが外れていることに購入時に気づいた。その場で正常な製品と交換することができた」とし、「この点が、G4 Cubeのデザインで一番気に入ったところだ」という皮肉たっぷりのコメントをしていた。

 スティーブ・ジョブズ氏復活後のアップルは、あのどん底状態から着々と再興の道を歩んでおり、市場からの支持を着実に取りつけることによって、さらなる躍進に向かって突き進んできた。

 もっとも、製品戦略や製品デザインに関しては一貫して市場からの高い評価を得ているものの、製品の品質管理については以前から多くの問題が指摘されている。一連のアップルの戦略は、市場の購買意欲を駆り立てることには成功したが、その後の製品供給が需要に追いつかず、かえってマイナス効果ともなりかねない側面をはらんでいる。

 アップルは、「商品流通が少々滞っても、供給を充足すれば、商品の訴求力により需要はついてくるだろう」という市場認識の危うさを反省し、より顧客に密着した商品管理体制を確立すべきである。
  • 1