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<特別リポート>マックワールドエキスポ/東京'99

1999/03/01 18:45

 マックワールドエキスポ/東京'99は、アップル復帰後初めてスティーブ・ジョブズ暫定CEOが講演した。内容は今年1月のサンフランシスコでのマックワールドエキスポと同様で目新しさはなかったが、会場を訪れた多くのマックユーザーにとっては、「ジョブズが日本で講演する」ことに大きな意味があったようだ。

ジョブズ講演に熱狂の渦 「マックは世界最高」と強調

●ラフな格好で講演に登場、G3の優位性をアピール

 2月18日、米アップル暫定最高経営責任者・スティーブ・ジョブズ氏が幕張メッセで開催された「マックワールドエキスポ/東京'99」で基調講演を行った。

 ジョブズ暫定CEOが日本で講演を行ったのは、NeXT在籍時以来、同氏がアップルに復帰して初めてとなる。それだけに会場には熱心なファンが大挙して訪れ、超満員となった。

 実はジョブズ暫定CEOは、アップル復帰後も国内のメーカーとの折衝など、お忍びで来日することがあったにも関わらず、記者会見、講演など公の場に登場することがなかったために、「彼は日本嫌いなのではないか」といった噂も飛んでいた。それだけに、今回マックワールドエキスポで講演を行うことが決定したことに対し、マックファンからは期待と不安が入り交じった声が上がり、会場の雰囲気は開演前から早くも過熱気味。

 日本法人の原田永幸社長の紹介で、壇上に姿をあらわしたジョブズ暫定CEOは、白いスタンドカラーのシャツの上に紺のカーディガンを羽織ったジーンズというラフな格好。登場を待ちかねた観客はそれだけで熱狂し、スタンディングオベーションで迎えた。

 講演の内容は、1月にサンフランシスコで行われたマックワールドの講演をなぞったもので、(1)デザインがスケルトンタイプの新しいG3マッキントッシュ(2)iMac(3)対応アプリケーション(4)MacOS  の4つのテーマに沿って話を進め、日本のユーザーから期待されていたノート型iMacなど、世界初公開となるような情報は出てこなかった。

 とくに新しいG3マックに関しては、「この製品を開発するにあたり、私はパワフルさ、グラフィックス、拡張性、デザインの4つの面で、最高のパソコンを実現しようと考えた。実際に見てもらえれば、それを納得してもらえるはず」と話し、舞台上でコンパック製のパソコンを並べた機能比較を行い、その優位性を訴えた。

●初心者層が5割に「満足」、日本語ソフト充実訴える

 iMacに関しては、日米市場でナンバー1シェアを獲得したことに対し、「日本のユーザーがiMacを喜んで迎えてくれたことに対してお礼を言いたい」と笑顔で話した。

 日本のユーザーを調査したところ、初めてパソコンを購入する人が46%で、「通常のパソコンでは初心者の割合は20%台半ば。これに比較すると非常に高い。さらに、ウィンテル製品を利用していた購入者の16%を合計すれば、62%が初めてマックを購入したユーザー」だと説明した。

 対応アプリケーションの充実を紹介するコーナーでは、新しいソフト1599タイトルが全世界で開発になり、うち901タイトルが日本語化されたことをアピールした。

 また、ソニーが訴えを起こした、プレイステーション用ソフトをマックで再生する「バーチャル・ゲーム・ステーション」(コネクティクス)やマイクロソフト製品を紹介した。

 バーチャル・ゲーム・ステーションでは、訴訟には触れず、「これまでのアップルの経営陣は、ゲームを軽視していたようだが、私はそうではない。ゲームは大好きだ。プレイステーションのソフトがマックでも遊べるようになることは、歓迎すべきこと」と語った。

 マイクロソフト製品に関しては、「われわれにとって最も重要なデベロッパーの1社」だと話し、米マイクロソフトのベン・ウォールドマン・マッキントッシュ・ビジネスユニット・ゼネラルマネージャーが壇上にのぼり、最新のマック対応インターネットエクスプローラ4.5をデモし、「われわれは最新機能をウィンドウズではなく、最初にマックで提供した」とコメントし、会場を盛り上げた。

 また、OSに関しては、日本で4月に、「MacOS X(マックOSテン)」の名称で発売を予定しているサーバーOSについてもデモンストレーションを行い、iMac50台を接続してビデオ映像を流したが、これがうまくいかず、「予定していたようにうまくはいかなかった。しかし、われわれは世界で最高のコンピュータをつくるために努力しており、不満な部分があればどんどん指摘してもらいたい」と話して講演を終えた。
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