店頭流通

アップル 3四半期連続で黒字に 製品数減少で市場予測的確に

1998/07/27 18:45

 アップルコンピュータが3四半期連続で黒字を計上した。マッキントッシュG3の売り上げが好調なためで、創業者スティーブ・ジョブズ氏の経営立て直しが成功したとの見方が投資家の間で広まっている。

 同社は4―6月期の決算で1億100万ドルの純益を計上。買収した企業の株式公開で得た一時的な収益を除いても7500万ドルの純益を上げた。

 一方、売上高は前年同期比19.3%減の14億ドル。フレッド・アンダーソン最高財務責任者によると、パワーブックG3の増産とiMacの生産に重点を置いたため、他の製品が品薄になったと説明している。

 またコンシューマ向け製品の欠如が日本とヨーロッパの業績を直撃。出荷総数が前期の65万台から64万4000台に低下した。一方で在庫整理に成功。3月末の2億5700万ドルから6月末には1億2900万ドルに在庫が削減された。流通関係者によると、昨年11月発売のG3シリーズが人気で、とくに今年5月発売のG3パワーブックは飛ぶように売れているという。

 同最高財務責任者によると、業績改善に成功した理由の1つは、製品数を減少させたこと。昨年の15種類の製品群から今年は3種類に減ったことで、市場予測が的確になり在庫削減のための値下げをする必要がなくなった。

 また業界標準の部品を多用することで部品コストの削減に成功。そのほか部品業者の倉庫をアップルの工場近くに設けたことや、マザーボードの生産を外注することで効率的な工場運営が可能になったという。3期連続の黒字決算の発表を受けて同社の株価が続伸。過去1年間の最高値を記録した。
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