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アップル 新型マックのライセンス供与拒否か 互換機メーカーは困惑

1997/09/01 18:45

 米アップルコンピュータが新型のマッキントッシュ(愛称マック)のライセンスを供与しない可能性が出てきた。  業界関係者によると、アップルは少なくとも互換機メーカー2社に対して、新型パソコン規格CHRPに準拠したパソコン上でマックOSやマック用ソフトが作動することをアップルが認定する計画のないことを通知する文書を送付したという。

 アップルはこれまでマック本体を自社開発し、互換機メーカーにライセンスを供与してきた。CHRP機に関しては、CHRP規格に準拠していれば互換機メーカーが自由に開発、製造できるが、搭載するマックOSやアプリケーションが正常に動作するという認定はアップルが行うことになっていた。

 今回の文書で、アップルは認定のための検査を始める意向のないことを通知したもよう。互換機メーカーがアップルの認定なしにマック互換のCHRP機を販売することは困難とみられており、事実上のライセンス供与の拒否と同様となる。

 業界関係者の間では、アップルがライセンス供与を始めたおかげでシェアの低下が食い止められているという見方が多く、「アップルの心変わりの理由が読めない」という困惑の声が上がっている。

 一方、創業者スティーブ・ジョブズ氏を中心にアップル経営陣の間では、互換機のシェアがマック全体の3分の1に達していることから、互換機がアップルの経営難の元凶とする意見が強いといわれる。

 従来のマック互換機はこれまで通り販売できるが、アップルの認定を得られるまでCHRP機の出荷を差し控えているメーカーもある。パワー・コンピューティング社では、経営の先行きが読めないとして本社拡張工事計画や従業員の新規採用を一時中止している。

 モトローラは、来年発売予定ということでCHRP機の第1号機を8月初旬に発表しているが、アップルの認定なしに発売に踏み切るのかどうかは不明。
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