BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『きみに冷笑は似合わない。SNSの荒波を乗り越え、AI時代を生きるコツ』
2025/04/25 09:00
週刊BCN 2025年04月21日vol.2056掲載
一生懸命のススメ
著者はAIの研究者でITスタートアップの起業から上場まで経験した経営者でありながら、発表した小説がミステリー大賞を受賞するという多彩な才能の持ち主。どんなことを考えているか興味があって本書を手にした。いわゆるビジネス書ではなくエッセーで、著者がどんな気持ちで生きてきたのかを振り返りつつ、若い世代を鼓舞する言葉が綴られている。三足のわらじを履く著者の考え方は、非常に合理的だ。多くの人がSNSに毎日2時間以上を費やしている現代。批判や誹謗中傷も多く目にするが、斜に構えるのをやめて人の良いところに目を向け、前向きに関わっていこうとするだけで、SNSとの付き合い方は変わると示唆している。
仕事をする上での心構えも多く記されている。「夢を掲げ、周囲の雑音には不敵な笑みを返し、前進し続ける方がよほどいい」というメッセージは、地道に一生懸命自分の道を進むことが成功につながったという著者の経験を凝縮している。オフィスに足を踏み入れたら自責思考にスイッチすること。スペシャリストではなくゼネラリストを目指すこと。習慣を味方に付けること。この3点は、今後意識していきたいと感じた。(緑)

『きみに冷笑は似合わない。
SNSの荒波を乗り越え、AI時代を生きるコツ』
山田尚史 著
日本経済新聞出版 刊 1650円(税込)
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