BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』
2025/03/21 09:00
週刊BCN 2025年03月17日vol.2051掲載
「体にいい」食品は本当にいいのか
「有機栽培」「オーガニック」の野菜と聞けば、平均的な野菜よりも安全でおいしく、栄養豊富であるかのような印象を受ける人もいるだろう。東京都品川区は今年10月から、給食の質を高めるためとして、小中学校の給食でオーガニック野菜の使用を原則とする方針を発表している。しかし、農業関係者などからは反発の声が挙がっている。オーガニック野菜の中には、確かにおいしいものもあるが、有機栽培自体と食味に直接の関係はない。本書によれば、有機栽培が慣行栽培に比べ安全性や栄養価に優れるというエビデンスも確立されていない。もちろん、農作物の特色としてオーガニックを訴求することには何の問題もないが、給食の質の改善という目的につながるか不明確な高価な食材に公金が投入されるとなれば、議論が沸き起こるのは必至である。
食の安全が重要なのは当然だが、「○○は危険だからこちらを選ぶべき」といった不安をあおるような動きがあるならば、本当に科学的に裏付けされているのか慎重になるべきだ。本書は健康に良い・悪いとされるさまざまな食品とその根拠について、どんな点に注目すれば正しい情報にたどり着けるのかを解説してくれる。国民一人一人に食のリテラシー向上が求められる。(螺)

『食品の「これ、買うべき?」がわかる本』
松永和紀 著
大和書房 刊 1870円(税込)
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