BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『恐竜はすごい、鳥はもっとすごい! 低酸素が実現させた驚異の運動』
2025/03/07 09:00
週刊BCN 2025年03月03日vol.2049掲載
運動能力を支える「スーパーミトコンドリア」
自力で空を飛ぶのは人間には不可能なため、鳥が飛んでいる姿を見ると、なぜ飛べるのか、どういった体の仕組みになっているのか、などを考えることがある。本書は、鳥とその祖先とされる恐竜の一種である「初期獣脚類」について、新たな進化学説を交えて論証した一冊だ。本書によると、約2億5000年前に起きた大絶滅後、地球は低酸素となり、その中でトカゲのようだった恐竜が、低酸素に対応するため進化したのが初期獣脚類だとしている。そして、初期獣脚類が持つ「スーパーミトコンドリア」を鳥が受け継いでいるのだという。
スーパーミトコンドリアは、哺乳類のミトコンドリアと比較して、酸素消費が高く、活性酸素の産生と脂肪の合成が低いとされる。鳥の細胞は、このスーパーミトコンドリアで満たされていることから、常にフルパワーでエネルギー基質を生産しており、圧倒的な運動パフォーマンスにつなげていると紹介している。
表紙のイラストに興味を持ち購入したものの、スーパーミトコンドリアをはじめ難しい内容が多く理解するのに苦労した。ただ、鳥のすごさは十分に伝わってきた。家のベランダに時々止まっているカラスを見る目も少し変わりそうだ。(帆)

『恐竜はすごい、鳥はもっとすごい!
低酸素が実現させた驚異の運動』
佐藤拓己 著
光文社 刊 1166円(税込)
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