BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『チョコレートと日本人』
2025/01/31 09:00
週刊BCN 2025年01月27日vol.2045掲載
日本独自のチョコレート文化
バレンタインデーが近づいてくると、百貨店の催事場で「チョコレートフェア」などが開催され、会場はチョコレートを求める多くの客でにぎわう。目にも鮮やかな色とりどりのチョコレートを見て回るだけでも楽しい。本書によると、1970年代に、女性が愛する男性にチョコレートを贈る日として日本でバレンタインデーが定着したそうだが、2000年代には友人同士が贈り合う「友チョコ」など、男女に関係なく感謝を伝える文化へと進化した。思い出してみると、確かに私の子どもの頃は友チョコを交換するのが定番だった。板チョコを溶かし、型に入れて固めただけの簡単な手作りチョコレートがなぜかとてもおいしかったことを覚えている。現在では「日頃頑張っている自分へのご褒美」として「自分チョコ」を購入する人が増えたという。私も、ここ数年は誰かに贈るというより、自分が食べたいチョコレートを自分のために買うことが多い。
バレンタインデーに代表されるように、日本のチョコレート市場は世界でもユニークな存在だという。本書では日本におけるチョコレートの歴史をたどるとともに、カカオ産地における労働問題や新たな製造スタイルなども紹介し、日本のチョコレート文化を多面的に解説している。(留)
『チョコレートと日本人』
市川歩美 著
早川書房 刊 1276円(税込)
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