今日は何の日

<今日は何の日>11月25日『ハイビジョンの日』

2024/11/25 09:00

週刊BCN 2024年11月25日vol.2038掲載

フルHD時代に昔の映像を見ると

 つい20年ほど前までは、縦横比が4:3のテレビを何の疑問もなく視聴していた。地上波の放送はノイジーなのが当たり前だったので、ことさら画質に不満もなかった。しかし、安価なテレビやPC用ディスプレイでもフルHDの解像度が当然となった今、資料映像などとして当時のニュースが流れてくると、自分が子どもの頃のテレビはこんなにも不鮮明だったのかと驚く。

 NHK放送技術研究所は1960年代に、後に「ハイビジョン」と呼ばれる高精細なテレビ放送技術の研究に着手。89年からアナログハイビジョンの試験放送を開始したが、受像機は高価で技術マニア向けの域を脱するには至らなかった。その間にデジタル技術が飛躍的な発展を遂げ、結局、高精細テレビの一般普及は2003年の地上デジタルテレビ放送開始によって進むことになった。アナログハイビジョン放送は「実用化試験」のまま07年に終了した。

 古い白黒の映像を見ると、いかにも「昔の映画」や「歴史上の出来事」といったイメージが想起される。しかし、10年前のスマートフォンで撮る写真の質感が「エモい」と言われる現代だ。ハイビジョン画質で育った若い人たちにとってみれば、アナログ記録された4:3の映像も、もはや歴史上の存在なのだろう。(螺)
 


由来
郵政省(現総務省)とNHKが1987年に制定。アナログハイビジョン方式の総走査線(画面を構成する水平線)数が1125本であることが由来。
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