朝の完全栄養食

　炊きたての新米に、新鮮な生卵をそっと落とし、好きなしょうゆを少々。これ以上ないぜいたくな朝ご飯が完成する。するすると食べられてタンパク質も取れる。たまごかけご飯は、私にとって忙しい朝の完全栄養食だ。

　たまごかけご飯が「TKG」と呼ばれ、食べ方や調味料のバリエーションが広がって久しい。専用のしょうゆなども各地で販売されている。好きな具材を加えアレンジを楽しむ人も多いだろう。たまごかけご飯を地域おこしの起爆剤にする動きもある。毎年シンポジウムを開催する島根県雲南市だけでなく、岡山県美咲町では、たまごかけご飯だけを提供する食堂を目当てに年間7万人が訪れるなど、観光資源になっている。

　手軽に食べられるたまごかけご飯だが、一時期食べるのを我慢していたことがあった。それは欧州に住んでいた時期。日本と異なり、卵を生で食べる習慣がない欧州では、スーパーなどで販売している卵は十分に洗浄されておらず、鳥の羽が付着していることもざら。生で食べるとサルモネラ菌などに感染する恐れがあったからだ。安全にたまごかけご飯を楽しめる日本の環境に感謝したい。
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由来
2005年、「日本たまごかけごはん楽会」によって制定。同会は毎年、島根県雲南市で「たまごかけごはんシンポジウム」を開催している。