▼山道を車で進むと、徐々にスマートフォンの電波の受信状況が悪くなり、いよいよ圏外の表示が出るようになった。9月に東北地方の温泉地を訪れたときのことだ。通信不感地帯が国内にあることは知っていたが、体感するのは久しぶりだった。

▼旅館のロビーではインターネット回線が使えたが、客室からはやや遠い。何度か行き来して利用したが、途中から面倒になってスマートフォンを放置して過ごしていた。情報収集などができなくなったことに一定のストレスを感じたものの、近くを流れる川のせせらぎなど、自然環境の音を聞いていると、だんだん落ち着いた気分になれた。

▼電子機器と一定期間、距離を置くことを「デジタルデトックス」と言う。いったん離れてみると、自分がそれなりにスマートフォンやインターネットに依存していることが分かる。効果は諸説あるが、デジタルのない生活も悪くないと感じた。

▼つながる世界は便利だが、電子機器を使いすぎると疲労につながる。忙しい日々を充実させるためには、たまには通信不感地帯に赴き、便利なツールを手放してリフレッシュすることは大事と言えるだろう。皆様もお試しあれ。（鰹）