BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『発達障害「不可解な行動」には理由がある』
2024/10/11 09:00
週刊BCN 2024年10月07日vol.2032掲載
明確にしっかりと言葉で伝える
空気を読めずに、▽つい角が立つ言い方になってしまう▽極端な行動に走る▽過剰集中する―など、発達障害を持つ人の言動とその背景を本書では解説している。発達障害の一種のASD(自閉スペクトラム症)は成人全体の1%程度、ADHD(注意欠如・多動症)は3~4%を占めるとされる。精神科医の著者は、昼夜問わず研究に没頭した医学者の野口英世、米国実業家で超人的な働きぶりで有名なイーロン・マスク、発明王のトーマス・エジソン、アップル創業者のスティーブ・ジョブズなどは、「ADHDを思わせる過剰集中的な仕事ぶり」だと指摘。歴史に残る偉人の中には発達障害の傾向が見られる人が少なからず存在するという。
本書では発達障害を持つ人の言動を頭ごなしに否定するのではなく、例えば空気が読めないケースでは、「伝えたいことを明確にしっかりと言葉で伝える」などの対処法を提示。過剰集中している場合は、無理やりやめさせるのではなく、例えば過去に過労で病気になってしまった経験を思い起こさせ、同じ轍を踏ませないようサポートするといった対処が有効とのことだ。
大声で怒鳴りつけたり、あからさまな嫌悪感を示す表情で当人には伝わらず、効果がないと説く。(寶)
『発達障害「不可解な行動」には理由がある』
岩波 明 著
SBクリエイティブ 刊 990円(税込)
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