失敗から生まれ定番に

　10月に入ると、今年も終わりが見えてくる。寒い季節になれば、無性に食べたくなるのがラーメンだろう。しょうゆやみそなど、さまざまな味があるが、とんこつ味も根強い人気がある。

　とんこつラーメンは、福岡県久留米市で1937年に開業した屋台「南京千両」が発祥だとされる。当時、東京でラーメンが流行していることを知った店主が修行に赴き、豚骨だしを用いたしょうゆベースのスープを完成させてオープンした。

　現在、なじみがある白濁したスープが生まれたのは47年とされ、久留米市のラーメン店「三九」の店主がスープを仕込んでいた際に、不注意から火力を強くしすぎたことでスープが白く濁った。味わってみると思いのほかおいしく、その日以降は、この白濁したスープをラーメンに使うようにしたとされている。失敗の中で生まれた経緯を持つが、独特の風味が好評を得て定番となった。

　とんこつラーメンは店によって、こってりしたものからあっさりしたものまで千差万別だ。豚骨の下処理の仕方や煮込む時間など各店で工夫を凝らしたスープを仕上げており、違いを感じながら食べるのも楽しみの一つだろう。
（石）
 

由来
日付は「とん（10）こつ（2）」と読む語呂合わせから。とんこつラーメン発祥の地とされる福岡県久留米市の「久留米ラーメン会」が認知度向上を目的に制定した。