▼よく行く会社近くの飲食店が、ランチでのご飯のおかわり無料サービスをやめた。店員に聞くと、最近の米不足が理由だと教えてくれた。仕方ないと思う一方、おいしいご飯がおなかいっぱい食べられないことに一抹のさみしさを感じた。

▼8月以降、スーパーなどの棚から米が消え、その様子は「令和の米騒動」と言われている。メディアが積極的に報じているほか、インターネット上では真偽不明の情報が錯綜。米泥棒も出現したとされ、混乱は続いているようだ。

▼1990年代には、冷夏による米不足が大きな問題になった。漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は当時の連載回で、話題になった「ブレンド米」などを描写。コミカルな内容の中で、登場した高齢の女性は「戦時中と違って麺類や芋などもあるしね」などと発言。さらに「人の物を取ったり買いだめしたり気持ちが卑しくなるほうが嫌」とも話していた。

▼食料が不足していた戦時中と異なり、飽食の時代なのは今も同じ。変わったのは以前に比べて多種多様な情報が得られるようになったことだ。誤った対応をしないように、真実を見極める姿勢がより求められている。どうか冷静な判断を。（鰹）