今日は何の日

<今日は何の日>8月28日「電子楽器『テルミン』の開発者であるレフ・セルゲーエヴィチ・テルミンの誕生日(1896年)」

2024/08/26 09:00

週刊BCN 2024年08月26日vol.2027掲載

100年前に生まれた「未来」

 子どものころ、テレビ番組で不思議な光景を見た。機械から伸びる2本の棒に手をかざすだけで、なんとも表現のしがたい音が鳴り、しかも、棒と手の距離で音程や音色、音量が変わる。この楽器が「テルミン」と呼ばれることを知ったのは、もう少し大人になってからだった。

 2本の棒(=アンテナ)と手の位置によって静電容量が変わり、それが周波数の変動につながり、二つの周波数の差から生じる「うなり」を利用しているそうだ。物理を勉強していれば、音が鳴る原理は単純らしいが、あいにく文系一筋の記者にはよくわからない。

 電子楽器としては最古の類であり、最近のシンセサイザーなどのように多彩な表現ができるわけでもないが、テルミンにしか出せない温かみを帯びた音色、独特の演奏形態などが評価され、今でも根強い人気がある。

 開発されたころのソビエト連邦では、国土の電化政策が推進されており、おそらくテルミンもその流れの中で「未来」を感じさせる楽器として注目を集めたのではないだろうか。当時は未来的な存在だった楽器が、100年以上が過ぎた現代では、その「古さ」がもたらす魅力によって愛されていることを、開発者のテルミン氏はどう感じるだろうか。
(無)
 


由来
1896年8月28日にロシアの物理学者・発明家であるレフ・セルゲーエヴィチ・テルミンがサンクトペテルブルクで生まれる。テルミンは1920年(19年とも言われる)に初期の電子楽器の一つであるテルミン(テレミンヴォックス)を開発した。
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