BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『ジャパン・ホラーの現在地』
2024/07/19 09:00
週刊BCN 2024年07月15日vol.2022掲載
ホラー作品の楽しみ方
近年、ホラーブームが再来していると感じる。本やテレビ、インターネットなど、さまざまな媒体で勢いのあるホラー作品が世に出てきているからだ。特に興味深かった作品の一つに、「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」がある。テレビで実際に放送された番組で、バラエティーの体裁を取ってはいるものの、実はVTRの各所に怖い演出が隠されているのが特徴的だった。何も知らない状態で番組を見た人は、かなり怖かったのではないだろうか。本書にはさまざまなホラー作家が登場し、作品の怖さの理由や、作品が生み出されるに至った背景などを対談形式で語っている。
対談の中で、Aマッソのがんばれ奥様ッソ!を担当したテレビ東京の大森時生プロデューサーは、自分で情報を探しにいくインターネットなどとは対照的に、テレビは「あらゆるメディアの中でも唯一、勝手に“こちら側”に侵入してくる」ために特有の怖さが生まれるとしている。
これまでホラー作品に触れる時、物語の内容ばかりに目を向けていた。本書を通じて「なぜ怖いと感じるのか」「怖さの背景には何があるのか」などの視点を持つことで、新たな楽しみ方ができると気づくことができた。(留)
『ジャパン・ホラーの現在地』
吉田悠軌 編著
集英社 刊 1650円(税込)
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