BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『60分でわかる! 最新 著作権 超入門』

2024/07/12 09:00

週刊BCN 2024年07月08日vol.2021掲載

生成AI時代の実務に必要な知識

 著作権の概念は、15世紀の活版印刷機の発明とともに生まれた。それまでの書籍は1ページごとに手書きで書き写す写本であり、製造には大変な労力がかかる商品だった。このようなコスト構造がある原理上、大量のコピーが発生することはなかったため、「著者は作品の複製をコントロールできる」という考え方には至らなかった。しかし、印刷機というツールの登場でその前提が崩れ、印刷業者や出版社に独占的な権利を与える国が欧州で出始めた。これが現在の著作権につながっている。

 その歴史を見てもわかるように、著作権は常に人間社会とテクノロジーのせめぎ合いの中で議論されてきた。週刊BCNの読者の方々には、ソフトウェアという無形の財産の開発・販売を生業にしていることから、著作権については基本的な知識を持っているという人も多いだろう。しかし、例えば「生成AIがつくった画像の商用利用」「チャットボットへのRAG技術(検索拡張生成)の組み込み」といった行為が著作権侵害にあたるか、即答できるだろうか。本書は、新しいデジタル技術の活用にあたって直面することが予想される、著作権の各種課題についてQ&A形式で解説する。テクノロジーを取り扱う実務者として、知識の継続的なアップデートは必須である。(螺)
 


『60分でわかる! 最新 著作権 超入門』
STORIA法律事務所 編著
技術評論社 刊 1540円(税込)
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