BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『審判はつらいよ』

2024/06/21 09:00

週刊BCN 2024年06月17日vol.2018掲載

正確なのが当たり前、ミスには強烈な批判

 スポーツにおいて審判員は必要不可欠な存在だ。審判員がいなければ競技の公平性は担保されず、判定や採点を行うことができない。しかし、審判員のジャッジは正確なのが当たり前と認識されており、誤審をした際には、選手や監督からの抗議を受け、ファンからの強烈な批判の声を浴びる厳しい仕事だ。

 本書は、野球やサッカー、相撲、ゴルフなど8競技の審判員にスポットを当て、各競技における審判の仕組み、やりがい、苦労をまとめた一冊だ。登場する審判員が判定を行い、物議を醸した実際の出来事についても書かれており、その出来事を知っている人にとっては、新たな発見があるだろう。

 最近は、多くの競技で映像判定が用いられるなど、審判員の仕事が変わりつつある。映像判定についても、審判員ごとに見解の違いがあり興味深い。

 読後は、外からでは分からない審判員の大変さが理解できた。同時に、私は学生時代、あるスポーツをしていたが、審判員の判定に不服な態度を取ったことがあり、そのときを思い出して恥ずかしい気持ちになった。今年はパリ五輪が開催される。競技を楽しむのはもちろんだが、審判員にも注目して観戦したいと思う。(帆)
 


『審判はつらいよ』
鵜飼克郎 著
小学館 刊 1100円(税込)
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