BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『ネットはなぜいつも揉めているのか』
2024/05/24 09:00
週刊BCN 2024年05月20日vol.2014掲載
ネット上でのコミュニケーションの難しさ
インターネット上では、毎日、何かしらのもめ事が起こっている。私が普段利用しているX(旧Twitter)も例外ではない。私自身、かつてTwitter上でもめた経験がある。結局は相手が誤解していただけと分かったのだが、強い語調で糾弾されていた時は冷や汗が止まらなかった。著者は、ネット上でのやり取りでトラブルが生じてしまう要因の一つに、「対面でなく、文字だけのコミュニケーションである点」を挙げている。文字によるコミュニケーションでは、基本的に誰が何を書いたかが残る上、内容以外の情報が少ない。感情など背景にある情報が読み取りづらい上、口頭では「なあなあ」で済ませられていた意見の食い違いも、文字として明確に表れてしまうという。かつてのもめ事も、これが原因で起こったと考えると腑に落ちる。
SNS全盛期の現在、もめたり「ネット炎上」したりすることは極力避けたい。今後も快適にSNSを利用するために、文字でのコミュニケーションは難しいということを念頭に置いたほうがいいかもしれない。
著者が前書きで「朝、目を覚ますとツイッター(現X)を開くところから私の一日が始まる」と語っていた。余談だが、実は私もまさに同じルーティーンで生活しているので、なんだか親近感が湧いた。(留)
『ネットはなぜいつも揉めているのか』
津田正太郎 著
筑摩書房 刊 1012円(税込)
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