今日は何の日

<今日は何の日>5月20日(1909年)『「味の素」発売』

2024/05/20 09:00

週刊BCN 2024年05月20日vol.2014掲載

「Umami」は世界に通じる言葉に

 料理が得意でない自分にとって、自炊レシピには解釈が困難な表現がいくつもある。「きつね色になるまで焼く」といっても、黄色に近い明るい色から茶色に近いあめ色まで幅がある。「オリーブオイルを一振り加える」の一振りとは、一体何ミリリットルなのか。極めつけなのが、「塩やこしょうなどで味を調える」だ。「調える」と言われても、どのような味を目指せばいいのか。台所にある調味料を手当たり次第に入れながら味見をしてみるが、果たしておいしくなっているのか判断できない。

 そんな局面から救ってくれるのが、発売から115年を迎えた「味の素」だ。「レシピはあいまいな表現が多く困る」と言ったそばからこんな表現をするのも心苦しいが、味の素を料理に一振りするだけでコクが増し、ぼやけていた味にメリハリが効く。

 うま味は、甘味、酸味、塩味、苦味に続く“第5の味”であるとして化学的研究が長年行われてきたが、舌の細胞には昆布などに含まれるグルタミン酸に応答する「うま味受容体」があることが2000年に発見され、今では多くの言語で「Umami」が学術的な用語として用いられている。世界的にも食の評価が高い日本による偉大な発明だ。
(螺)
 


由来
1909年(明治42年)5月20日、鈴木製薬所(現在の味の素の前身)がうま味調味料「味の素」の一般販売を開始した。前年に東京帝国大学の池田菊苗・教授が特許を取得したグルタミン酸ナトリウムの製法を基に商品化した。
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