BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『小さな会社の広報大戦略』

2024/05/03 09:00

週刊BCN 2024年04月29日vol.2012掲載

相手をおもんぱかる姿勢も忘れずに

 メディアは毎日、企業から何かしらの連絡を受ける。新しい製品・サービスの発表文のほか、説明会や記者会見の案内など、内容は多岐にわたる。取材する上で有益な情報は多いが、ときには首をかしげるようなこともある。

 大企業は、自社で広報部門を設けているケースが多い。しかし、人員が限られている中小企業は、同じような体制にするのは難しい。本書は、そのような「小さな会社」に焦点を当てる。広報の必要性や広報部の立ち上げ方などを詳説し、業種に関係なく幅広い企業にとって参考になる内容になっている。

 メディア側からすると、広報の対応次第で、その組織に対する考えは大きく変わる。信義則に反する対応をされると、自社で情報を共有するし、場合によっては他社に話が広がることもある。こうなると、広報を通じた情報発信の点で、期待する効果は得にくいだろう。逆に横柄な記者に対して、広報側はいい印象を持たないはずだ。

 自社の成長につながる活動を目指す広報と、公平・中立な視点で情報を発信したいと考えるメディア。仕事の目的は違うが、業務上のつながりは深い。どちらの立場であっても相手をおもんぱかる姿勢を忘れてはいけないと改めて感じた。(鰹)
 


『小さな会社の広報大戦略』
松田純子、高橋ちさ  著
日本経済新聞出版 刊 2420円(税込)
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