▼学生時代の講義で「広告は社会のビタミン」と聞いた。メインコンテンツを、たんぱく質などの3大栄養素とするならば、広告はその流通を円滑にするための補助的栄養として欠かせない。そして、必要だからこそ「摂取」しやすいかたちで提供しなければならないとも言える。

▼米Meta（メタ）が、自社のSNSに表示される「著名人になりすました詐欺広告」に関して声明を発表した。確かに最近、さまざまなSNSで有名人が投資を呼びかける怪しげな広告を目にする。声明自体は「対応している」というだけで内容が薄く、評価しようもないが、話題が広がれば注意喚起にはなるかもしれない。

▼詐欺広告は論外としても、ウェブメディアの拡大につれ、広告が「邪魔な存在」として認識されるようになっている。コンテンツを覆い隠すバナーや、急に差し込まれる動画など、首を傾げるような表示方法は少なくない。いくら健康にいいからといって、無理やり大量のビタミンを飲まされてはたまらない。

▼広告がなければ、ほとんどの商業媒体は成り立たない。受け手にとって真に価値のある広告を媒体側も真剣に考えなければ、自分たちの首を締めることになる。（無）