BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『モフモフはなぜ可愛いのか』
2024/03/29 09:00
週刊BCN 2024年03月25日vol.2007掲載
動物行動学で日常の不思議を読み解く
本書では常日ごろ感じている「ちょっとした不思議」を動物行動学の視点で読み解いている。タイトルにもなっている「モフモフはなぜ可愛いのか」は、▽短めの毛に覆われている▽比較的丸っこくて小さめである-の二つの要素で構成されていると分析。その上で、ヘビやミミズのように長細い物体に短めの毛がびっしり生えていても、あまりモフモフしたくならない心理が働くと指摘する。また、丸っこくて小さな物体であっても、テカテカのビニール素材で覆われているものと、ふかふかの毛皮で覆われているものを並べ、「どちらかに頬ずりしろ」と命令された場合、多くの人はビニール素材に頬ずりしようとは思わない。ヒトを含む哺乳類の赤子が、丸っこくふくよかであり、そうした物体を庇護するよう遺伝子にプログラムされているからだとしている。
執筆に当たっては「日ごろから疑問に感じていることを」をSNSで広く募り、類似性のある質問を13項目にまとめて、科学的見地から答えを示している。だが、原因がみな淘汰圧や生存・繁殖に有利なように仕組まれた遺伝子に帰結するとしており、詰まるところヒトと動物の行動原理は「根っこの部分では同じではないか」と思えてくる。(寶)
『モフモフはなぜ可愛いのか』
小林朋道 著
新潮社 刊 880円(税込)
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