BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『面倒なことはChatGPTにやらせよう』

2024/03/15 09:00

週刊BCN 2024年03月11日vol.2005掲載

熱弁も冷笑も実践した後に

 「生活や仕事はすべて生成AIを前提にしたものに変わる。当社も事業戦略の中心にAIを据えて注力している」と熱弁する人たちがいる。一方で、「生成AIはもっともらしいうそをつくし、企業のデータをモデルの学習に使われたらたまらない。出力結果が著作権を侵害していないとも限らない。業務で使うには非常にハードルが高い」と、導入できない理由をすらすら語れる人も多い。

 ただ、どちら側の人と話していても、時として「この人は本当に自分自身で生成AIを使い込んだうえで、その評価をしているのかな……」と疑問に感じることがある。生成AIはそのすごさも問題も語り尽くされており、“借りてきた言葉”でも一定の評論は可能だ。筆者も、本当に自分の言葉で生成AIについて議論できているか、自信がなくなることがある。

 本書では、データサイエンスの業務に携わるエンジニアが、「ChatGPT」について平易な表現でその実用方法を教えてくれる。類書は多いが、すぐに使えるプロンプト集にとどまることなく、望む結果が得られない場合にどんな発想で指示を改善すればいいかの知見が豊富なのが特徴だ。生成AIに入れ込むにしても距離を置くにしても、この業界にいるならば、一定以上の深さまでの実践は必須だろう。(螺)
 


『面倒なことはChatGPTにやらせよう』
カレーちゃん・からあげ  著
講談社 刊 2750円(税込)
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