▼ウェブニュースを眺めていると、大手アウトドア用品メーカーの業績悪化の記事が目に留まった。新型コロナ禍を背景に三密を回避するレジャーとして盛り上がったブームがしぼんでしまったようだ。確かに最近、SNSで、リサイクル品店に大量のキャンプグッズが並んだ写真を見た記憶がある。不要になった人が売ってしまったのだろう。

▼過熱した分だけ、冷めたときの影響は大きい。少し前は至るところにあったタピオカドリンクの店で、今も営業しているのはどれほどあるだろうか。生き残れたのは、ほんの一握りだ。

▼ITビジネスも、はやり廃りが大きい。いっとき耳目を集めた技術は、あっという間に過去のものになる。最近でいえば生成AIが人気だが、あるベンダーの役員は、そろそろ幻滅期に入ると話していた。期待が膨らみすぎると、後が怖い。

▼とはいえ、ブームによって裾野が広がることには意味がある。コロナ禍でアウトドアの楽しさに目覚め、本格的な趣味になった人はいるはずだ。ITもブームが去った後に定着した例は少なくない。クラウドはその代表例といえる。価値のあるテクノロジーは、ブームの後にこそ注目したい。（無）