▼昨年、引っ越しを機に自家用車を購入した。これまで運転するのは筆者だけだったが、今年に入って妻が一念発起し、運転免許の取得を目指し教習所へ通い始めた。妻が持ち帰ってきた最新の教本を開くと、かつては見られなかった用語が並んでいる。例えば、「原動機付自転車」は「一般」と「特定小型」に分けられた。前者が従来の原付きバイクで、後者はいわゆる電動キックボードだ。

▼一方、車社会の大勢からかけ離れた、数十年前から変わらない記述も多い。車の機構を説明する図では後輪を駆動しているが、現在の乗用車は一部の高級車やスポーツカーを除き、ほとんどが前輪駆動だ。踏切でエンストしたらギアを1速か2速に入れセルモーターで脱出せよ、という助言には今や何の実用性もなく笑ってしまったが、それだけ交通法規と免許制度に長い歴史があることを感じさせる。

▼1960年まで、原付きバイクの運転に免許は不要だった。テクノロジーの進化に合わせて法規制も変化する。最近、著作権の観点から生成AIが問題視される場面が増えてきた。AIの利用が免許制になる前に、業界も自主的に一定のルールを整備する必要がありそうだ。（螺）