▼12月初旬、革のジャンパーに身を包む経営者として知られる、米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日した。時価総額が今年1兆ドルを突破し、今や米アマゾン・ドット・コムに次ぐ地位につく同社を率いるフアンCEOは、技術者としての先見性と、経営者としての大胆な戦略立案・実行力を併せ持つ、テック業界のカリスマだ。

▼フアンCEOが今のAIブームをいつから予見していたかは不明だが、GPUが画像処理以外でも強力な性能を発揮する可能性をいち早く見抜き、他社に先駆けてソフトウェア開発環境の整備に大規模な投資を行った。今後、AI用の半導体は競合からも次々登場すると考えられるが、ソフト資産や開発者の層の厚さといった、エコシステムの強さではエヌビディアの一人勝ちがしばらく続きそうである。

▼報道によると、フアンCEOは政権幹部との対話を経て、国内への最新GPUの供給や、同社の研究開発拠点の設置に前向きな姿勢を示したという。西村康稔経済産業大臣は、背広ではなくグリーンのジャンパーを着てフアンCEOとの会談に臨んだ。日本のリーダーたちがカリスマから良い刺激を受けていることを期待したい。（螺）