BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『和食の文化史 各地に息づくさまざまな食』
2023/11/24 09:00
週刊BCN 2023年11月20日vol.1993掲載
奥深い和食の世界
日本を代表する文化の一つが「和食」だ。本書は、祝い事の際に食される特別な料理から、家庭料理までを含めて和食として定義し、歴史や地域ごとの特色などを紹介した一冊だ。和食は、バラエティーに富むことが特徴に挙げられる。これを可能とするのが、海と山の双方がある地形と四季により全国各地でさまざまな食材が取れるためだ。水一つにしても、東日本と西日本の水道水では、硬度に差があり、昆布などでだしを取ると違いが表れるとしており、こうした背景が和食の多様性を生み出しているという。
正月に食べられる雑煮は地域により違いがあるのは有名だ。著者は、「丸餅と角餅」「汁のしょうゆ仕立てと味噌仕立て」の二つの項目から分布図を作成。どこの地域が境界線になっているのかを示し、その理由を解説。詳細に書かれており、いろいろな雑煮を食べてみたくなった。また、東西の食の違いで、よく語られるのはウナギのさばき方だが、背開きと腹開きに分かれたのは江戸時代からで、それ以前は、ぶつ切りで食べられていたとしており驚いた。
読後は腹が空いたので、定食屋に行った。本書の内容を思い出しながら、焼き魚や肉じゃがなどを食べて和食の良さを実感した。(帆)
『和食の文化史 各地に息づくさまざまな食』
佐藤 洋一郎 著
平凡社 刊 1078円(税込)
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