BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『体育がきらい』
2023/11/03 09:00
週刊BCN 2023年10月30日vol.1990掲載
体育を好きにならなくていい
私はずっと体育が苦手で、体育の時間がくるたびに「休めないかな」と考えるほどだった。しかし、ずる休みする勇気もなかったので、嫌だと思いつつも出席するしかなかったことを覚えている。この本では一貫して「体育なんて好きにならなくていい」というスタンスで話を進めていく。この姿勢は、体育が苦手だった私を安心させると同時に、なぜ体育を苦手としていたのかについて考えるきっかけになった。
具体的には、「他人から注目されること」が大きな要因だったとの気づきがあった。子どもの頃、授業中にミスをしたとき、大勢から注目されて恥ずかしかった経験が何度かある。文中でも、恥ずかしさと体育嫌いは密接に関係しているとの指摘があり、実体験も相まってかなり納得させられた。
私が学校に通っていた頃と今を比べると、カリキュラムは大きく変わっているだろうし、それによってより良い授業が実現しているかもしれない。しかし、体育が苦手な子どもは現在でも存在しているのではないかと思う。子ども自身が「なぜ自分は体育が苦手なのか」を理解することができれば、授業との適切な向き合い方が分かるかもしれない。体育嫌いの子どもやその親に読んでもらいたい1冊だ。(留)
『体育がきらい』
坂本拓弥 著
筑摩書房 刊 968円(税込)
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