▼原油高、円安、そして補助金の縮小によって、ガソリン価格が高騰を続けている。資源エネルギー庁が発表した店頭価格は8月28日時点で1リットルあたり185・6円となり、同統計の開始以来最高値を記録した。政府与党は、9月末で終了する予定だった補助金を年末まで延長する方向で調整を進めている。

▼電力料金についても、補助金を活用した値下げの議論は尽きない。毎月の電気代も、人々の物価に対する意識を大きく刺激する指標だ。そして言うまでもなく、エネルギー価格の変動はすべての産業のコスト構造に影響を与える。ばらまきの批判があっても政府がガソリンや電力の価格を重視するのはこのためだ。

▼あらゆる商品・サービスの製造や流通の裏側にはデジタル技術があり、そこにはＩＴインフラを動かすための電力費用が含まれている。社会におけるＩＴの重要性が高まるほど、そのコストは国民生活により大きな影響を与えるようになる。情報システムの環境性能は、従来は企業の社会的責任といった倫理面で語られることが多かったが、産業や人々の生活を守るという意味でもＩＴの省エネ化があらためて求められている。（螺）