BOOK REVIEW
<BOOK REVIEW>『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』
2023/07/28 09:00
週刊BCN 2023年07月24日vol.1978掲載
安心・安全な社会を実現するために
高齢者宅を狙った強盗や窃盗、特殊詐欺などが相次ぎ、一般人の若者が逮捕されるケースが目立っている。多くの事件で注目されているのが、インターネットで犯罪への関与を募る「闇バイト」だ。本書は、闇バイトの実態や社会的な背景などを解説し、安心・安全な社会を実現するために何が必要かを考えるきっかけを与えてくれる。それまで真っ当に生きていても、いったん足を踏み入れると、簡単には抜け出せないのが闇バイトだ。一時的に現金などを手に入れても、行き着く先は決まっている。「僕のように破滅して、全てを失いたくなければ、闇バイトには行かないでください」。本書が取り上げる証言の一つで、安易な気持ちから特殊詐欺の主犯格として活動し、逮捕された当事者の言葉は非常に重い。
目先の金に目がくらんだり、コロナ禍で生活に困窮したり、無知ゆえに巻き込まれたりと、闇バイトに手を染める人の動機はさまざまだ。被害者のことを考えると、犯罪は決して許されるべきではないが、事件を起こした人を責めるだけでは、再発を防止できないだろう。若者への危険性の周知不足など、本書の指摘には真剣に耳を傾けるべきだ。
(鰹)
『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』
廣末 登 著
祥伝社 刊 1023円(税込)
- 1