▼子どもの頃、愛読していた少年誌で「○○先生への手紙はこちら」との記述を見つけた。それまで接していた教員や医師などと同じように、漫画家も先生と呼ばれていることを知った。新しい世界観を読者に示す力に、多くの人が敬意を表していたのだろう。

▼インターネットで調べてみると、実際に手紙を送り、漫画家から直筆の礼状が届いた人の話が載っている。憧れの人から返事をもらったら、喜びはひとしおだろう。自分は一度も手紙を出さなかったが、あのとき一歩踏み出しておけばと少し後悔している。

▼漫画界では、手塚治虫の作品「ブラック・ジャック」の新作の制作に生成AIが活用されることが発表され、大きな注目を集めた。新作は今秋に公開予定。内容はお楽しみにということだろうが、人の力との組み合わせによって、これまでにない発想が盛り込まれることを期待している。

▼AI華やかなりし頃となり、取材などでは、必ずと言っていいほど話題に上がるようになった。今は協力関係にあるが、AIが生み出す価値の大きさは未知数。将来、先生となったAIに人間が教えを請う時代がやってくるかもしれない。（鰹）