「○○セント均一」が米国を席巻

　物価高のおり、日用雑貨を安価に提供してくれる100円ショップに足を運ぶ頻度が高くなった。実は、「○○円均一」の業態は、最近できたものではない。江戸時代には小間物を19文均一で売る「十九文屋」、おでんや天ぷらを出す「四文屋」などがあったという。

　19世紀末の米国では、5セントまたは10セントの雑貨を取りそろえた「ファイブ＆ダイム（＝10セント）ストアー」が登場して好評を博し、その草分けだったF.W.ウールワースカンパニーは、この業態で莫大な富を築いた。同社は1913年、ニューヨークの市庁舎前に新たな本社を竣工した。241メートルを誇るビルは当時世界一の高さで、「○○セント均一」の店がどれだけ圧倒的な支持を集め、繁盛していたかをうかがわせる。

　筆者は20年以上前にニューヨークを訪れたとき、高層オフィスでありながら教会のような荘厳さも感じさせるこのビルの威容に見惚れ思わず写真に収めたが（写真）、そのときはまさか雑貨店の本社として建てられたものだとは思わなかった。昨年は日本の「ダイソー」が、1ドル99セントショップをマンハッタンに初出店した。100年経ってもニューヨーカーは“コスパ”に敏感らしい。（螺）
 

由来
1913年4月24日、米ニューヨーク（NY）市に小売企業の本社ビル「ウールワース・ビルディング」が竣工。1930年まで世界で最も高いビルだった。