▼半導体は「産業の米」といわれる。製品の性能を支える上で重要な役割を担っているため、メーカーの開発競争はし烈を極め、勢力図の変化は非常に激しい。

▼コロナ禍では、半導体の不足が大きな問題となった。世界的に奪い合いが起こり、企業は調達に頭を悩ませた。取材先のＩＴベンダーからは「売りたいが、モノがない」と悲鳴に近い声を何度も聞いた。

▼半導体産業は、日本の得意領域だったが、今は外国勢の後じんを拝する。各国の企業がより微細な半導体の生産を目指す中、国内では主要メーカーなどが出資する新会社が誕生し、政府の後押しを受ける。ほかの国も積極的な姿勢で、競争はますます激化する可能性がある。

▼半導体といえば、集積回路の製造コストと搭載部品数の関係を示し、性能向上の指標として使われてきたムーアの法則が有名だ。提唱した米Iｎｔｅｌ（インテル）の創業者、ゴードン・ムーア氏は３月24日に94歳で死去した。一部で同法則は通用しなくなったとの見方があるが、依然として技術の進歩は続いている。産業発展の礎を築き、多くの影響を与えたムーア氏に敬意を表し、安らかな眠りを祈っている。（鰹）